著作権重要判例要旨[トップに戻る]







商品の発注者及び納入者双方の過失責任を認定した事例
「民家素描画複製販売事件」平成41125日東京地方裁判所(平成2()15000 

【コメント】本件における事実関係は、概ね、次のとおりです。

訴外亡Aは、主に民家を素描画として描き続けてきた画家であって、「明善寺(飛騨白川郷萩町にて)」と題する素描画(「本件著作物(一)」)を、「合掌造りの集落(越中富山五箇山相倉部落にて)」と題する素描画(「本件著作物(二)」)をそれぞれ著作し、各著作物につき著作権及び著作者人格権を取得した。そして、Aの長男である原告が、相続により本件著作物(一)及び(二)の著作権を承継取得した。

被告愛和工芸は、土産物用布製暖簾の製造を被告小関に発注し、被告小関は、訴外Bをして、「被告絵画(一)及び(二)」の下絵を製作、納入させ、被告絵画の下絵に基づき染め付けられた暖簾(「被告商品」)を製造し、これを被告愛和工芸に納入し、被告愛和工芸は、当該被告商品を高山市周辺の土産物業者に卸販売した。 


 前記に判断したとおり、Bは、被告絵画(一)及び(二)の下絵を製作するのに本件著作物(一)及び(二)の複製物に依拠したものと推認されるところ、その本件著作物(一)及び(二)の複製物は、D(管理人注:被告小関の取締役)がC(管理人注:被告愛和工芸の代表者)から受け取ってBに渡した参考資料中に含まれていたか、Bが自ら調べた資料中に含まれていたかのどちらかであるとは言えるけれども、そのどちらであるかは明らかでない。
 
しかし、本件著作物(一)及び(二)の複製物が、DCから受け取ってBに渡した参考資料中に含まれていたとすれば、本件著作物(一)及び(二)について著作権を有する者がいないか調査することなく、これを暖簾の図柄として複製させたD及びCには著作権侵害について過失があったことは明らかである。
 
また、本件著作物(一)及び(二)の複製物が、Bが自ら調べた資料中に含まれていたとしても、前記記載のとおり、デザイン料約2万円で、二週間程度で納品されたという現地調査などは期待できない製作状況であったのに、納品された下絵はいずれも写実的で細部まで表現されていたのであるから、D及びCとしては、Bが写実的な他人の著作物を丸写しにするなどした可能性を考慮し、Bに参考とした資料を問い合わせ、これと納品された下絵と対比する等の調査をして、他人の著作権を侵害しないようにすべき義務があるのにこれを怠った過失があるものと認められる。
 
(略)
 
Cは、被告愛和工芸の代表者であり、その職務を行うについて被告商品を製造販売して原告の有する本件著作物(一)及び(二)の著作権を侵害し、かつ後記のとおり原告に精神的苦痛を負わせて原告に損害を与えたものであるから、民法44条(管理人注:現会社法350条参照)の規定により、被告愛和工芸は、原告の受けた損害を賠償すべきものである。
 また、Dは、被告小関の取締役であり、その事業の執行につき被告商品を製造販売して原告の有する本件著作物(一)及び(二)の著作権を侵害し、かつ後記のとおり原告に精神的苦痛を負わせて原告に損害を与えたものであるから、民法715条の規定により、被告小関は、原告の受けた損害を賠償すべきものである。
 
そして右被告らの行為は共同不法行為に当たるものというべきである。











相談してみる

ホームに戻る