著作権重要判例要旨[トップに戻る]







著作権表示(©記号)の存在を過失責任認定の根拠とした事例
「‘誕生花’写真集複製・公衆送信事件」平成160212日大阪地方裁判所(平成14()13194 

【コメント】本件は、写真家である原告が、「誕生花」としての花の選択並びにこれについて原告が撮影した花の写真及び花言葉の組合せ全体について著作権を有すると主張して、これを被告大原種苗が原告に無断でパンフレットに掲載した行為が原告の著作権(複製権)を侵害するなどと主張して、被告に対してその損害賠償を請求した事案です。

 
本件では、次のような事実関係がありました。
原告は、1366日に1日ごとに計366種の花を1つずつ「誕生花」と称して対応させた花の写真及びその花言葉の組合せからなる写真集を創作した。
財団法人夢の架け橋記念事業協会(以下「協会」という。)は、ジャパンフローラ2000の広報用ポスターの制作を株式会社電通に発注した。電通は、原告の了解を得て、上記の「誕生花」の写真及び花言葉を掲載したポスター(「本件ポスター」)を製作して協会に納入した。
被告大原種苗は、自社の総合カタログとして、「zipangu」と題する冊子を製作発行し、その中に、「誕生花」の写真及び花言葉全部を、本件ポスターから転載した。上記転載について、被告大原種苗が、原告に許諾を求めたことはない。

 
『被告大原種苗は、「zipangu」への「誕生花」の掲載につき、協会の入場券販売管理本部本部長であったDに、本件ポスターの「zipangu」への転載について許諾を求めた。協会は、検討した結果、「zipangu」が無償配布であることから、複製を許諾することとして、被告大原種苗にDを通じて許諾することを伝えた。』との被告大原種苗の主張に対し、『仮に協会の被告大原種苗に対する転載の許諾があったとしても、自己の有する権利以上のものを他人に与えることができない以上、被告大原種苗の不法行為の成立を直ちに否定することにはならないから、独立した争点たりうるものではない。ただし、被告大原種苗の過失の成否に影響し得るものであるから、この限度で検討する。』とした上で、被告の「故意過失の有無」について、以下のように判示しました。 


 本件ポスターには、第1刷分から、本件誕生花の部分の下に「©KITA Shunkan Photo Library」との表示がされていたと認められることは、前記のとおりである。©KITA Shunkan Photo Library」が協会を示すものでないことは、一見して明らかであるから、被告大原種苗としては、本件誕生花に関する著作権の所在について、少なくとも協会に明示的に確認すべき注意義務があったというべきである。
 
しかしながら、被告大原種苗の担当者であったEは、本件ポスターの写真に別に著作権者がいるかもしれないという考えを持たず、協会から許諾を得ればよいだろうと考え、その結果、被告大原種苗は、著作権の所在について、協会に明示的に確認することすらしなかったのであるから、被告大原種苗には、上記注意義務を怠るという過失があったというべきである。
 
もっとも、上記で判示したとおり、協会が被告大原種苗に対し、本件ポスターを転載することについて、無償であれば構わない旨を伝えていたという経緯に照らせば、本件ポスターに上記表示がされていたことのみをもって、被告大原種苗に、上記過失を越えて、故意の存在まで認めることはできず、他に、被告大原種苗に故意があったことを認めるに足りる証拠はない。











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