著作権重要判例要旨[トップに戻る]







黙示の利用許諾を認定した事例(9)
「死刑囚の手紙・顔写真等放送・出版事件」平成170825日東京地方裁判所(平成16()26420/平成180228日知的財産高等裁判所(平成17()10110 

【原審】

 
…によれば,本件番組及び本件書籍の内容が本件刑事事件について原告の無実を主張するものであること,原告自らが,取材活動の事実を知って,イラストを送付するなどの協力的行動を行なっていること,原告は,支援者等から本件番組及び本件書籍の内容を知らされていたのに,本件番組放送後約12年間,本件書籍発行後約10年間,特に抗議していないのであるから,これらの事実を総合すれば,原告は,被告らに対し,本件番組の制作・放送及び本件イラスト,本件手紙等を掲載して本件書籍を制作・出版すること並びに被告らが,本件番組,本件書籍作成のために情報提供すること等について,少なくとも事後的に黙示の承諾をしたものと認められる。

【控訴審】

 
上記認定の事実によれば,テレビ朝日の番組「ザ・スクープ」の制作スタッフは,本件刑事事件がえん罪事件であることを証明するための報道活動をしている旨の自己紹介をした上で控訴人に取材をしており,控訴人は,この取材に応じて,自己の生活状況等を述べ,併せて,自らが作成した取調べ状況のイラスト(本件イラスト)を渡して積極的に協力していたのであるから,将来,「ザ・スクープ」により本件刑事事件に関する報道がされ,控訴人の情報提供がその報道の一資料として用いられることを十分に理解した上で,取材に協力していたものというべきである。
 
そして,報道活動の一環として,何らかの形で番組の内容が書籍に掲載されることは,通常,予想されることであるところ,上記認定のとおり,本件番組も本件書籍も,全体として,本件刑事事件をえん罪事件として扱い,控訴人が真犯人であることに疑問を呈する内容であり,控訴人は,控訴人の支援者から,出版された本件書籍を受け取っていたにもかかわらず,これに対して,被控訴人らないしテレビ朝日に対して何らの苦情の申入れや抗議等をすることもなく,本件訴訟の提起までの約10年間を経過したものである。
 
以上のような事情の下においては,控訴人は,被控訴人らに対し,本件番組を制作・放送すること,本件イラスト,本件手紙等を掲載して本件書籍を制作・出版すること,並びに,被控訴人らが,本件番組及び本件書籍制作のための情報提供をすること等について,少なくとも事後的に黙示の承諾をしたものと認めるのが相当である。











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