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商品化契約におけるライセンシーの注意義務
「『キャンディ・キャンディ』損害賠償請求事件」平成120525日東京地方裁判所(平成11()8471 

【コメント】本件は、連載漫画につき、そのストーリーの創作を担当した著述家である原告が、原告に無断で行われた当該連載漫画の登場人物の絵の商品化事業について、原告が当該連載漫画について有する原著作者としての権利を侵害するものであると主張して、当該商品化事業に関与した被告【B】(当該連載漫画の作画を担当した漫画家)を始めとする被告らに対して、著作権侵害を理由とする損害賠償を求めた事案です。

 
本件においては、次のような事実関係がありました。

被告アイプロは、被告【B】からの委任を受けて、本件連載漫画について被告【B】の有する著作権を管理し、その商品化事業を遂行するものであるところ、「被告アドワーク」を代理人として、「被告カバヤ」との間で、本件連載漫画の登場人物の絵を同被告の販売する菓子類に付することを許諾する内容の契約(「本件許諾契約」)を締結した。

商品化事業の交渉中、被告【B】、被告アイプロ及び被告アドワークは、被告カバヤに対して、本件連載漫画のストーリーを用いないで登場人物の絵を使用するだけであれば著作権法上何らの問題も生じない旨の説明をしており、被告カバヤは、この説明を信じて、本件商品の製造販売には著作権法上の問題はないものと判断して、本件許諾契約の締結に応じた

本件許諾契約の締結後、被告アドワークは、被告【B】の当時の代理人弁護士が作成した、本件連載漫画について著作権を有するのは被告【B】のみである旨及び仮に原告に何らかの権利があったとしても本件連載漫画のストーリーを用いないで登場人物の絵を使用するだけであれば著作権法上の問題を生じない旨を説明した書面を、被告カバヤに交付した。

被告カバヤは、本件許諾契約に基づき、主人公キャンディを始めとする本件連載漫画の登場人物の絵を付した「キャンディキャンディCANDY」なる名称の袋入りの飴(「本件商品」)を製造販売した。 


 本件商品の販売について、被告アドワーク及び被告カバヤが責任を負うかどうかについて
 
右認定事実によれば、被告らは、本件連載漫画について著作権を有するのは被告【B】のみである旨及び仮に原告に何らかの権利があったとしても本件連載漫画のストーリーを用いないで登場人物の絵を使用するだけであれば著作権法上の問題を生じない旨の共通認識の下で、共同して、本件連載漫画のキャラクターの商品化事業として、被告カバヤによる本件商品の製造販売を遂行したものと認められるから、本件商品の製造販売による原告の著作権の侵害については、各自、共同不法行為者として責任を負担するものというべきである。
 
被告アドワークは自己の行為は違法と評価されるものではないと主張するが、前記のとおり、本件許諾契約に向けての交渉の際には、本件連載漫画について著作権を有するのは被告【B】のみである旨及び本件連載漫画のストーリーを用いないで登場人物の絵を使用するだけであれば著作権法上の問題を生じない旨を繰り返し説明していたものであり、なるほど本件許諾契約には本件商品の製造販売により第三者の権利を侵害したときには被告カバヤの責任により処理する旨の条項(11(2))は置かれているものの、前記のような交渉の経緯に照らせば、右条項が本件連載漫画の登場人物の絵の使用について原告から別途許諾を得る必要のあることを意味するものと解することはできない。
 
また、被告アドワーク及び被告カバヤは自己の過失を争うが、被告らは、本件連載漫画の登場人物の絵の使用について著作権法上の問題を生じないかどうかを、それぞれの事業の遂行に当たり、各自、自己の責任により判断すべきものであるところ、前記認定事実に加えて、なかよしにおける本件連載漫画の各連載分に「原作【E】」という形で原告のペンネームが表示されていたことに照らせば、本件連載漫画の登場人物の絵の使用につき原告が何らかの権利を有することは容易に知り得べきものであったから、被告【B】ないし同被告の当時の代理人弁護士の説明を軽信して本件商品の製造販売に関与した被告アドワーク及び被告カバヤに、過失があったことは明らかである。











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