著作権重要判例要旨[トップに戻る]







建築士の注意義務
「小林ビル建築設計変更事件」昭和540620日東京地方裁判所(昭和50()1314 

 以上のとおり、被告(管理人注:一級建築士)は被告設計図書2ないし4を作成することにより原告設計図書5ないし8を複製したということができるので、次に右複製についての被告の過失の有無を判断する。
 
被告は、H(管理人注:訴外工務店代表取締役)から設計変更の依頼を受けてこれを引受けた際、原告設計図書の原設計者(建築士)に設計変更を要請して断られたが、原設計者に対する報酬は支払済みで、他の建築士が設計変更をすることについては承諾を得てあるので、被告には一切迷惑をかけない旨のHの言明を信じ、何ら確認をしなかつたことは前記のとおりであり、原告設計図書5ないし8のコピーの交付を受けたJ(管理人注:被告事務所員)に被告設計図書を作成させるについても、被告が何らの確認をしたとの事実を認めるに足る証拠はない。
 
ところで、建築主との契約に基づき設計図書を作成した建築士は、建築主からその変更を求められた場合には、特段の事由のなき限り最終的にはこれに応じなければならないというべきであり、被告本人尋問の結果によれば、被告自身もそのように考えていることが認められ、さすれば、被告は、Hから右のとおり原告設計図書の原設計者に設計変更を依頼して断られた旨の説明を受けたのであるから、そこに何らかの事情があると考えてしかるべきであり、Hに原設計者の氏名を問いただして原設計者に照会し確認するべき注意義務があるというべく、被告がそのような措置に出ることは極めて容易であつたことも多言を要しないところである。
 
しかるに、被告は、右のとおり原設計者に設計変更を依頼して断られた旨の説明を受けながら、漫然、Hの前記のような言明を信じ、何ら右のような確認をすることなく、設計変更を引受け、その後も何ら確認をすることなく、被告設計図書を作成したものであつて、この点過失を免れない
 
したがつて、被告は、過失により原告設計図書5ないし8を複製したということができるから、特段の事由のない限り、著作権侵害の責を免れることはできない。











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