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複製における同一性(6)-ノンフィクション作品の構成の同一性-
「夕刊フジ連載記事『ソニー燃ゆ』事件A」平成140919日東京高等裁判所(平成13()602/「夕刊フジ連載記事『ソニー燃ゆ』事件@」平成140130日東京高等裁判所(平成13()601 

【A事件】

 
控訴人は,控訴人著作物の構成が,…というようになっていること,本件葬儀という事実の中から,上記@からQの事項を選択したこと,特に,遺影に関するE,Fや遺骨に関するMを選択したことには,控訴人の独創性があること,Bの参加者として,誰をどういう配列で記述するかということも,他の選択と相まって控訴人の独創性の一部をなすものであること,他方,被控訴人書籍の構成は,一部を除き,控訴人著作物の構成と同一又は類似である旨主張する。
 
…によれば,控訴人著作物及び被控訴人書籍の記述が別表の各欄に記載されたとおりであることが認められ,また,控訴人著作物は,上記主張どおりの構成,流れで記述されており,被控訴人書籍も,一部を除き,概ね同様の事項が取り上げられて構成されていることが認められる。
 
しかしながら,控訴人著作物の上記構成をみても,表現上の創作性を認めるには足りない。すなわち,その構成は,本件葬儀の日時・場所,会葬者数,参加者名などという葬儀の概況や式次第に沿った葬儀の状況などを記述したものであり,控訴人著作物及び被控訴人書籍は,本件葬儀の模様を素材とするという意味で,歴史的又は時事的な事実を素材とするノンフィクションの作品である(この点は,控訴人も自認するところである。)ことからすれば,上記のような構成自体は,通常想定し得るものの域を出ず,独創的なものとはいい難い
 
さらに,記述対象事項の選択という観点からみると,控訴人著作物と被控訴人書籍で共通する部分はあるが,本件葬儀の模様を素材としたノンフィクションの作品として,記述されることが通常想定されるものと認められる事項であるといわざるを得ない。例えば,遺影,遺骨に関する記述がある点についても,掲載字数が極めて限定されている新聞の報道記事では,遺影,遺骨にまで記述が及ばないことがあるとしても,葬儀を素材としたノンフィクションの作品としてある程度の字数が予定される場合には,遺影,遺骨にまで記述が及ぶことは十分に想定されるところである上,本件証拠によって認められる本件葬儀における遺影,遺骨の状況,取り扱われ方,葬儀の演出などの事情に照らせば,遺影,遺骨について記述することはむしろ自然であるものと認められ,記述対象事項の選択が独創的であるとはいえない。他方,控訴人著作物に記述されながら,被控訴人書籍に記述がないものや,逆に,被控訴人書籍に記述されながら,控訴人著作物に記述がないものも多い。したがって,記述対象事項の選択においては,むしろ,両者は,相当の部分において相違するものと認められるのであり,記述対象事項選択の独創性ということから同一性があるとは認めるに足りない

【@事件】

 
構成の同一性について
 
次に、控訴人は、控訴人著作物全体と被控訴人書籍対比部分をそれぞれのまとまりとして比較検討する必要があるとした上、控訴人著作物の構成には独創性があり、被控訴人書籍対比部分の構成は、一部を除き控訴人著作物と同一である旨主張する。…
 
しかし、控訴人著作物も、被控訴人書籍対比部分も、ともに本件葬儀の模様を客観的に叙述するという共通する明確な主題を有することは明らかであるところ、このような主題に基づいて叙述しようとした場合、冒頭にC氏の死亡日時及び死因の記述に始まり、続いて本件葬儀のアウトラインとなる日時及び場所、主な会葬者、会場の様子、葬儀の形式といった事項を記述する構成を採ることは、客観的事実を型どおりの常識的な順序で記述したものであって、そこに創作性を見いだすことはできない。そして、これに続く叙述は、本件葬儀の式次第に沿って時系列的に記述するにすぎないといわざるを得ず、このことは、ソニー株式会社作成の「Sony Times Cファウンダー・最高相談役ソニーグループ葬特別号」の記述の内容及び順序に照らしても明らかである。したがって、このような記述の内容及び順序に表現上の創作性があるとは到底認めることはできない
 
また、記述対象の取捨選択に関しては、別表控訴人記事欄と被控訴人書籍欄の各記述の対比から明らかなように、被控訴人書籍対比部分は、控訴人著作物で取り上げられていない内容として、…等を含む一方、控訴人著作物の記述中、については、いずれも控訴人著作物に対応する記述がなく、記述対象の取捨選択において相当程度異なっている。そして、これらの記述対象の取捨選択は、本件葬儀の模様を客観的に叙述するノンフィクションの著作物としては、その創作性を有する部分であると解されるから、被控訴人書籍対比部分と控訴人著作物の構成は、記述対象の取捨選択という観点から見ても、創作性が認められるような特徴的な表現部分に同一性は見いだせない











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