著作権重要判例要旨[トップに戻る]







ノンフィクション作品の複製権侵害の成否
「夕刊フジ連載記事『ソニー燃ゆ』事件@」
平成121226日東京地方裁判所(平成11()26365 

 原告著作物と被告書籍の同一性について
 
原告著作物と被告書籍の右各記述部分が同一性を有するか否かは、原告著作物と被告書籍の著作物としての態様、叙述内容、叙述形式等を参酌のうえ、原告著作物と被告書籍の各記述部分の表現形式を対比して、被告書籍における記述部分から、原告著作物における記述部分の本質的特徴を感得しうるか否かによって決すべきである。
 
(略)
 
右の認定によれば、原告著作物と被告書籍は、いずれも【F】氏の葬儀という同一の歴史的事実を対象として、これを客観的に記述するという内容・表現態様の論稿であるから、記述された内容が事実として同一であることは当然にあり得るものであるし、場合によっては記述された事実の内容が同一であるのみならず、具体的な表現も、部分的に同一ないし類似となることがあり得るものである。このような点を考慮すると、原告著作物と被告書籍の右各記述部分が著作物として同一性を有するというためには、原告著作物の右記述部分における本質的特徴、すなわち創作性を有する表現の全部又はその大部分が被告書籍に存在することを要するものというべきである。そこで、以下、このような観点から、原告著作物中の別紙一覧表B欄の部分と、これとほとんど同一であると原告の主張する被告書籍中の同A欄記載の記述部分の同一性を検討する。
 (略)
 
以上によれば、被告書籍中には、【H】元首相の出席に関する部分や葬儀会場に設置された映像機器について「カラープロジェクション」「カラーモニター」の語を用いた点など、被告【B】が被告書籍執筆に際して原告著作物を参考にしたことをうかがわせる部分もないではない。
 
しかし、右の点を含めて、別紙一覧表の各B欄記載の記述部分の多くは、葬儀という事実を伝えるに当たって一般的に記述する事項について、いかなる者が記述しても同様な表現にならざるを得ないような慣用的表現ないしありふれた表現により記述されたものであり、原告著作物中の創作性が認められるような特徴的表現部分については、いずれも被告書籍中にはこれと対応する表現は存在しない。これらのことからすれば、被告書籍における別紙一覧表A欄記載の各記述部分と原告著作物における同B欄記載の各記述部分とは、著作物としての同一性を有していないものといわなければならない。
 
そうすると、被告書籍における別紙一覧表A欄記載の各記述部分は、原告著作物における同B欄記載の各記述部分を複製したものとは認められない。











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