著作権重要判例要旨[トップに戻る]







利用許諾契約の解釈(7)-挿絵イラストの表紙への使用が問題となった事例-
「挿絵イラスト無断複製改変事件」平成191116日東京地方裁判所(平成19()4822 

 本件各イラストを本件書籍の表紙に使用することについての許諾の有無について
 
前記で認定した事実によれば,原告は,被告スタジオダンクとの間で,原告が本件書籍のイラストの原画を作成する請負契約及び原告の作成したイラストの原画の使用を被告スタジオダンクに許諾する使用許諾契約を締結したものということができる。
 
被告らは,上記使用許諾契約においては,イラストの使用範囲についての限定はなく,表紙への使用も許諾されていたと解すべきである旨主張する。
 
上記契約については,契約書が作成されておらず,原告が被告スタジオダンクからの発注を受注するに当たり,当事者間で,イラストの使用範囲について話合いが行われた形跡もない。しかしながら,前記で認定した事実によれば,被告スタジオダンクの発注書には,依頼内容として「折り紙と紙遊びに関するムックのプロセスカット,遊び方のイラスト」の作成との記載がある。…によれば,プロセスカットとは,折り紙の作成過程を示すため,折り方についての説明部分に付されるイラストであり,遊び方のイラストとは,完成した折り紙の遊び方を読者に説明するため,折り紙の完成図に付されるイラストであって,いずれのイラストも,書籍の本文中に用いられることが予定されているものであって,当然に表紙にも用いられることが予定されているものとはいえないことが認められ,これに反する証拠はない。実際に原告が作成したイラストの点数は合計57点であり,この点数は,本文中での使用を前提とするものであるということができる。そして,一般に書籍の表紙部分は書籍の第一印象を決める本の顔ともいえる重要な部分であるといえるから,表紙に用いられるイラストについては,作者において表紙にふさわしいものとするよう配慮するのが一般的であると考えられることに鑑みると,原告において,その作成に係る57点の本件全イラストの中から,被告スタジオダンクが任意のものを選んで表紙に使用することを許諾していたとはにわかに考え難い。また,本件全証拠によっても,出版業界において使用を規制する明確な合意のない限り,本文中のイラストを表紙に使用することが許容されるとの慣行等があると認めることはできない。これらの事情に照らすと,本件使用許諾契約において,本件各イラストを本件書籍の表紙に使用することについて原告の許諾があったと認めるには足りないというべきである。
 
以上によれば,本件各イラストを本件書籍の表紙に使用することについての原告の許諾を得ていたということはできないから,被告スタジオダンクは,使用許諾の範囲を超えて,本件各イラストの複製を本件書籍の表紙に用いて本件書籍を製作し,本件各イラストについての原告の著作権(複製権)を侵害したものというべきであり,そのことについて少なくとも過失がある。











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