著作権重要判例要旨[トップに戻る]







著作物性のないロゴ・レイアウトの「買取り」を認定した事例
「美容業界誌『プロフェッショナル東京』事件」
平成140328日東京地方裁判所(平成10()13294 

 によれば,本件において,本誌第21号,第22号において被告が使用したことをもって債務不履行ないし不当利得に該当すると原告会社が主張しているところの本件タイトルロゴ等については,別紙@の「PROFESSIONAL TOKYO」のタイトルロゴは,ゴシック体の英文字を若干変化させたものであり,別紙Bの「NEWS」及び別紙Cの「ESSAY」のデザインは,円形の図形にゴシック体ないし活字体の英文字を重ねたものであり,いずれも工業デザインの範疇に属するものであって,美的鑑賞の対象となるに足りる美的特性を備えるものではないから,美的観点からの創作性を有するものということはできず,別紙Aの目次全体のレイアウトもまた,冒頭頁上部に「PROFESSIONAL TOKYO」のロゴを配し,各頁の左半分に写真を,右半分に内容を表示するなどしたというもので,目次のレイアウトとしてはありふれたものである。したがって,本件タイトルロゴ等は,いずれも著作権法上の著作物に該当するものということはできない。もっとも,このような著作物性を欠くロゴ,レイアウト等であっても,契約により対価を支払ってその制作を依頼することは行われているものであり,現に,本件においても,前記認定のとおり,原告会社は,被告の依頼により本誌第11号を制作し,その際,本件タイトルロゴ等を制作したものであるが,同号の制作に当たって被告との間で取り交わされた平成7130日付け「制作確認書」には作業内容の中に「デザイン」が含まれるものとされ,対価としても「デザイン費」として50万円が挙げられているものである。
 
本件タイトルロゴ等については,このうち別紙@のタイトルロゴについてはある程度の特徴を認めることができるものの,別紙Bの「NEWS」,同Cの「ESSAY」の各デザイン及び別紙Aの目次のレイアウトはいずれも見るべき特徴もない,ありふれたものであって,これらを併せても制作にさほどの困難も伴わないものと認められる。それにもかかわらず,本誌第11号の制作の報酬の総額200万円の4分の1にも当たる50万円の金額が「デザイン費」として計上されていることを考慮すると,本件タイトルロゴ等については,これらを制作し,いわゆる「買取り」としてこれらに関するすべての権利を被告に移転することの対価を含むものとして,上記「デザイン費」が支払われたものと認定するのが相当である。本誌第11号については,それまで被告社内の担当者によりなされていた本誌の編集制作作業を初めて外部に委託するものであり,また,原告会社ないし原告会社代表者はそれまで雑誌編集の実績を有するものではなかったから,編集制作作業を原告会社に委託すること自体が,被告にとっては冒険的な試みであり,したがって,仮に原告会社に対する編集制作の委託が同号限りとなっても,原告会社によって制作された本誌のロゴ,レイアウト,デザイン等をその後の号において引き続き使用するために,これらを「買取り」の対象とすることには,合理性があった。他方,原告会社としても従来実績のない雑誌編集の分野の仕事を新たに引き受けるのであるから,このようなロゴ,デザインの「買取り」の趣旨での合意に応じたとしても不自然ではない。また,上記のように本件タイトルロゴ等がありふれた特徴しか有さず,容易に制作できるものであったことに照らせば,…を考慮しても,50万円という金額は,本件タイトルロゴ等の買取りの対価として首肯し得る金額と認められる。











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