著作権重要判例要旨[トップに戻る]







会社と会社代表者個人の共同不法行為責任を認定した事例(2)
「整体専門学校生作成‘ほぐしのマニュアル’事件」
平成150718日東京高等裁判所(平成14()3136 

 [本件書籍1について]
 
…によれば,本件書籍1は,控訴人学院により発意され,同控訴人の委託により,創作舎が,控訴人学院の従業員から渡された本件著作物に依拠して制作し,控訴人Aを著者として出版されたことが認められる。
 
控訴人Aは,控訴人学院の代表者であり,かつ,本件書籍1の著者であるから,本件書籍1の出版により他人の著作権及び著作者人格権を侵害することがないようにすべき注意義務があったというべきである。上記のとおり,本件著作物は,控訴人学院の従業員Eから創作舎に渡され,これに依拠して本件書籍1が制作され,本件書籍1は,上記のとおり,被控訴人の本件著作権及び本件著作者人格権を侵害するものであったから,控訴人Aは,上記義務に違反した過失があり,上記侵害行為についての責任を負う。また,本件書籍1の出版は,控訴人学院の教本として制作されたものであって,代表者である控訴人Aの上記侵害行為は,控訴人学院の職務を行うにつきされたものであり,控訴人学院の法人としての侵害行為でもある
 
したがって,控訴人学院及び控訴人Aは,いずれも本件書籍1による本件著作権及び本件著作者人格権の侵害について責任を負う。
 
(略)
 
[本件書籍2について]
 
…によれば,本件書籍2は,控訴人学院により発意され,同控訴人の委託により,創作舎が,控訴人学院の従業員から渡された本件著作物に依拠して制作し,控訴人師会(管理人注:控訴人学院の卒業生を主な構成員とする、定款の定めに従って活動する権利能力のない社団)を編者として出版されたことが認められる。
 
控訴人Aは,控訴人学院の代表者であると同時に控訴人師会の代表者でもあるから,本件書籍2の出版について他人の著作権や著作者人格権の侵害行為がないようにすべき注意義務があったというべきである。上記のとおり,本件著作物が,控訴人学院の従業員から創作舎に渡されて,これに依拠して本件書籍2が制作され,本件書籍2は,上記のとおり,被控訴人の本件複製権及び本件著作者人格権を侵害するものであって,控訴人Aは,上記義務を果たさなかった過失があり,上記侵害行為の責任を負う。また,控訴人師会は本件書籍2の編者であるから,代表者である控訴人Aの上記侵害行為は,控訴人師会の職務を行うにつきされたものとして,控訴人師会の法人としての侵害行為であるとともに,本件書籍2が,村上式〈ほぐし〉が高い治癒効果をもち,控訴人学院においてその技能を習得することが独立開業に有利であることを強調し,控訴人学院の教育カリキュラム,学生募集要項の紹介をする内容であることなどに照らすと,本件書籍2の発行は,控訴人学院の業務の一環であると認められ,控訴人Aの上記侵害行為は,控訴人学院の職務を行うについてされたものとして,控訴人学院の法人としての侵害行為であるというべきである。
 
したがって,控訴人A,控訴人学院及び控訴人師会は,いずれも本件書籍2による著作権及び著作者人格権の侵害について責任を負う。
 
控訴人師会は,控訴人学院の事業を普及し宣伝する活動において控訴人学院と一体を成すものであり,控訴人学院の別名としてその名称がよく用いられることから,本件書籍2の編者とされているとして,その責任を争うが,本件書籍2には,控訴人師会が編者であることが明確に記載されており,編者であることに合理的な疑いを差し挟むに足りる証拠はない。また,控訴人師会の主張によっても,控訴人師会は,控訴人学院の事業を普及し宣伝する活動において控訴人学院と一体を成すものであるというのであるから,控訴人師会が控訴人学院とともに本件書籍2を出版したということになり,いずれにせよ,控訴人師会の職務を行うにつきされたものとして,控訴人Aの上記侵害行為が控訴人師会の法人としての侵害行為であることを否定することはできない。
 
(略)
 [本件書籍3について]
 
…によれば,本件書籍3は,控訴人Aが経営する学校法人村上学園日本健康ビジネス専門学校の院長であるFが,週刊住宅新聞社の「なる本」シリーズにおいてカイロプラクティックを紹介する企画を同社にもちかけ,控訴人学院の学院長であったCが控訴人師会の会員4名に執筆させ,控訴人師会を著者として出版したが,上記執筆者4名中2名は控訴人学院の講師であったこと,上記認定の本件著作物を複製した部分(第42)は,週刊住宅新聞社の社員であったDが,Fから渡された本件書籍2に依拠して記載したこと,Dは,上記複製部分が記載された原稿をFに渡し,同人は,その原稿を上記4名の執筆者に渡して検討させたことが認められる。
 
控訴人Aは,上記事実関係の下で本件書籍3の著者となった控訴人師会の代表者であったから,本件書籍3について著作権や著作者人格権の侵害行為がないようにすべき注意義務があったものということができる。特に,…によれば,本件書籍3が発行された平成12119日当時,既に本件訴訟が提起されており,被控訴人から,本件書籍2は本件著作物の複製物であるとの主張がされていたから,控訴人Aが,本件書籍3の出版に当たり,本件著作権及び本件著作者人格権を侵害することのないよう,慎重に調査検討すべきであったことは当然である。本件書籍3は,上記のとおり,被控訴人の本件複製権及び本件著作者人格権を侵害するものであって,控訴人Aは,上記義務を果たさなかった過失があり,上記侵害行為の責任を負い,また,控訴人師会は本件書籍3の著者であるから,代表者である控訴人Aの上記侵害行為は,控訴人師会の職務を行うにつきされたものとして,控訴人師会の権利能力のない社団としての侵害行為でもある
 
(略)
 控訴人学院は,組織的に本件書籍3を作成したり,控訴人学院の従業員が事業の執行として本件書籍3を作成した事実はないと主張するが,本件書籍3の発行は,本件書籍2と同様,その内容等に照らし,控訴人学院の宣伝という業務の一環であると認められ,控訴人Aの上記侵害行為は,控訴人学院の職務を行うにつきされたものとして,控訴人学院の法人としての侵害行為というべきである。したがって,被控訴人がした,控訴人学院の使用者責任の請求を追加することの許否について判断するまでもなく,控訴人学院は,本件書籍3に係る上記侵害行為について責任を免れない











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