著作権重要判例要旨[トップに戻る]







著作権の管理委託契約の成否が問題となった事例
「特撮映画『怪傑ライオン丸』等放送権譲渡事件」平成141024日東京地方裁判所(平成12()22624
 

【コメント】本件における原告の主張は、被告ピープロは、契約中の条項において、本件作品の著作権のうち被告ピープロが原告に譲渡した放送権を除いた部分についての利用管理を委託し、原告がこれを受託した(「本件管理契約」)、それにもかかわらず、被告ピープロは、本件作品に登場するキャラクターの商品化権を原告の仲介を経ないでコナミ株式会社に許諾し、これにより一般的な率による仲介料(コミッション)を得る権利を侵害した(故に、原告は被告ピープロに対して本件管理契約の債務不履行として400万円の損害賠償等の支払を求める)、というものでした。これに対して、被告ピープロは、本件管理契約は受託条件、費用及び利用方法等の内容が定まっていないから、いまだ契約として成立していないなどと主張して、原告の請求を争いました。 

 …によれば,本件契約の9条には,「被告ピープロは,作品の放送権の原告への譲渡に関連し,被告ピープロが保有する作品の著作権(原告に譲渡した部分を除く)の利用管理を原告に委託し,原告はこれを受託した。受託条件,費用,利用方法は原告・被告ピープロ間で別途協議して定める。」と定められている。同条項は,原告と被告ピープロが,受託条件,費用,利用方法を将来別途協議して定めることとしているものであって,これによれば,同条項は,本件作品の著作権に関して,第三者に対して利用を許諾する場合には,その都度,個別に,その対象となる権利の種類・範囲,原告の代理権等の権限の範囲,原告の報酬額,当該著作権の第三者による利用態様等を具体的に合意することを予定しているものと,解するほかはない。また,本件契約締結後における原告の行動を見ても,原告においては,本件作品に関して,ビデオやレーザーディスク,DVDに収録してレンタルショップにおいて賃貸し,一般消費者に販売することや,登場人物のキャラクターの商品化などの利用を,第三者に対して売り込むなどの行動を一切していないが,このように原告において本件作品の著作権の管理権限を前提とする行動を一切行っていないことからは,原告においても,本件契約の締結のみでは,原告が本件作品の利用につき管理者としての義務を負担するものではないと認識していたことが認められるものである。
 
上記の事情によれば,本件契約は,管理委託契約の本質的要素というべき受託条件,費用,利用方法については何ら定めておらず,これらの点については,別途,個別に合意することを予定しているものであるから,本件契約の締結によって,原告と被告ピープロとの間に,本件作品の著作権全般を対象とする管理委託契約が直ちに成立したと評価することは,到底できない。すなわち,本件作品の著作権に関して,管理委託契約が成立するのは,個別の案件について,原告と被告ピープロとの間で,その対象となる権利の種類・範囲,原告の代理権等の権限の範囲,原告の報酬額,当該著作権の第三者による利用態様等につき具体的に合意が成立した時点というべきである。
 
本件契約9条は,将来,本件作品の著作権に関して第三者との間で利用許諾が問題となった場合に,原告以外の者に仲介・代理等を委任せずに,原告に対してこれを委任することを,双方で合意したというにとどまるものであって,契約当事者の任意の履行に期待する,いわゆる紳士条項であり,これにより契約当事者に具体的な権利義務を発生させるものではない
 
したがって,被告ピープロが本件作品に関して直接第三者との間で利用許諾契約を締結したからといって,原告において,直ちに,債務不履行を理由として,その主張のような相場による仲介料と同額の損害賠償を,被告ピープロに対して請求できるものではない。











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