著作権重要判例要旨[トップに戻る]







違法複製品のインストール後に正規品を購入することによって損害は回復されるか
「資格スクールプログラム無断インストール事件」
平成130516日東京地方裁判所(平成12()7932 

【コメント】本件は、原告らは、「本件プログラム」(「エクセル」・「オフィス」・「マックOS」等のコンピュータ・ソフトウェア)についての著作権を有するところ、被告(各種資格試験の指導等を業とする株式会社)は、「西校校舎」において設置された多数のコンピュータに本件プログラムを原告らの許諾なしにインストールして複製し、もって、原告らの複製権を侵害したと主張して、被告に対し、本件プログラムの複製行為による損害賠償等を求めた事案です。 

 被告は,西校校舎内の本件プログラムについての違法複製品をすべて正規品に置き換え,正規品を購入することによって許諾料全額を支払ったから,原告らの損害は生じていないと主張する。
 
しかし,被告の上記主張は,以下のとおり失当である。
 
すなわち,被告の原告らに対する著作権侵害行為(不法行為)は,被告が本件プログラムをインストールして複製したことによって成立し,これにより,被告は,本件プログラムの複製品の使用を中止すべき不作為義務を負うとともに,上記著作権侵害行為によって,原告らに与えた損害を賠償すべき義務を負う。そして,本件のように,顧客が正規品に示された販売代金を支払い,正規品を購入することによって,プログラムの正規複製品をインストールして複製した上,それを使用することができる地位を獲得する契約態様が採用されている場合においては,原告らの受けた損害額は,著作権法1141項又は2項(管理人注:現2項又は3項)により,正規品小売価格と同額と解するのが最も妥当であることは前記のとおりである。その意味で,本件においては,原告らの受けた損害額は,被告が本件プログラムを違法に複製した時点において,既に確定しているとみるのが相当である。
 
確かに,被告は,原告らから違法複製品の使用の中止を求められた後,新たに本件プログラムの使用を希望して,自ら選択して,本件プログラムの正規複製品を購入したこと,上記正規品は,違法複製品と同一又は同種(違法複製品とは版の異なるものも存在する。)のものであることが窺える。しかし,被告の上記行為は,不法行為と別個独立して評価されるべき利用者としての自由意思に基づく行動にすぎないのであって,これによって,既に確定的に発生した原告らの被告に対する損害賠償請求権が消滅すると解することは到底できない(もとより,弁済行為と評価することもできない。)。顧客は,価格相当額(許諾料相当額)を支払うことにより当該正規品(シリアル番号が付された特定のプログラムの複製品)を将来にわたり使用することができる地位を獲得するが,その行為(当該正規品についての所定の条件の下での使用許諾申込みを承諾する行為)により発生した法律関係が,顧客と著作権者らとの間において既に成立した権利義務関係(損害賠償請求権の存否又は多寡)に影響を及ぼすものではないことはいうまでもない。











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