著作権重要判例要旨[トップに戻る]







商品化事業における許諾権者の一体性を考慮して共同不法行為を認定した事例
「『キャンディ・キャンディ』損害賠償請求事件B」平成140530日東京地方裁判所(平成11()20392 

【コメント】本件は、連載漫画のストーリーの創作を担当した著述家である原告が、原告に無断で行われた同連載漫画の登場人物の絵の商品化事業について、原告が同連載漫画について有する原著作者としての権利を侵害すると主張して、同商品化事業に関与した被告らに対し、著作権侵害を理由とする損害賠償等の支払を求めた事案です。 

 …本件連載漫画の制作の経緯によれば,本件連載漫画は,原告の創作した原作原稿を原著作物とする二次的著作物に当たると認められるから,原告は,本件連載漫画について原著作者の権利を有するというべきである。そして,二次的著作物である本件連載漫画の使用に関し,原著作物の著作者である原告は本件連載漫画の著作者である被告(B)が有するものと同一の種類の権利を専有し,本件連載漫画の登場人物の絵の使用についても,権利を有するものというべきである(最高裁平成131025日第一小法廷判決。先行訴訟上告審判決)。
 
(略)
 [本件商品の製造販売による本件連載漫画の登場人物の絵の使用について,被告らが責任を負うかどうかについて]
 
…を総合すれば,被告Bは被告アイプロに対し本件連載漫画について被告Bの有する著作権を管理しその商品化事業を遂行することを委任し,被告アイプロは被告ダンとの間で本件連載漫画の登場人物の絵について第三者の使用に対する再許諾権の付与を含む商品化契約を締結し,被告ダンが被告サンブライトに対し,被告サンブライトがその傘下の販売業者及び被告タニイに対し,被告タニイがその傘下の販売業者に対し,それぞれ本件連載漫画の登場人物の絵の使用を再許諾したものであって,被告タニイ及び前記各販売業者は,これに基づき,本件連載漫画の登場人物の絵の付された本件商品を製造して,平成1010月から平成115月にかけて本件商品を販売したことが認められるから,これによれば,被告B,被告アイプロ,被告ダン,被告サンブライト及び被告タニイは,一体として,末端の販売業者をして本件商品の製造販売を行わせるという商品化事業を遂行したものというべきである。加えて,…によれば,同商品化事業において,被告Bは被告アイプロ,被告ダン,被告サンブライト及び被告タニイを通じて被告タニイを含む末端の販売業者までを,被告アイプロは被告ダン,被告サンブライト及び被告タニイを通じて被告タニイを含む末端の販売業者までを,被告ダンは被告サンブライト及び被告タニイを通じて被告タニイを含む末端の販売業者までを,被告サンブライトは自ら又は被告タニイを通じて被告タニイを含む販売業者を,被告タニイはその傘下の販売業者を,それぞれ把握し,それぞれ本件商品の売上数量,売上額等を報告させることによってその販売状況を掌握していたことが認められる。したがって,上記被告らは,上記商品化事業を一体として遂行したものとして,それぞれが関与しているルートの傘下に属する末端の販売業者(被告タニイを含む。)が本件商品の製造販売を行った行為について,著作権侵害の共同不法行為者として責任を負うものというべきである。
 
また,…によれば,被告アースは,平成91028日,被告Bから本件連載漫画の登場人物の絵について著作権管理代行,再許諾権等を付与されていたフジサンケイアドワーク及び被告アイプロから,本件連載漫画の登場人物の絵につき第三者の使用に対する再許諾権の付与を含む商品化事業の許諾を受け,これに基づいてサンメールに対して当該絵の使用を再許諾し,サンメールが本件商品を製造して平成103月から同年6月にかけて販売したこと,サンメールは,本件商品を販売したときは,その売上数量,売上額等を被告アースに報告し,これに基づいて,被告アースからフジサンケイアドワークに対し,使用料が支払われ,被告アイプロ,被告Bがこれを把握していたことが認められるから,これによれば,被告B,被告アイプロ,被告アース,サンメールは,一体として,末端の販売業者であるサンメールが本件商品の製造販売を行うという商品化事業を遂行し,同商品化事業において,被告Bは被告アイプロ,フジサンケイアドワーク及び被告アースを通じて末端の販売業者であるサンメールまでを,被告アイプロは被告アースを通じてサンメールまでを,被告アースはサンメールを,それぞれ把握し,それぞれ本件商品の売上数量,売上額等を報告させることによってその販売状況を掌握していたことが認められる。したがって,被告B,被告アイプロ及び被告アースは,上記商品化事業を一体として遂行したものとして,サンメールが本件商品の製造販売を行った行為について,著作権侵害の共同不法行為者として責任を負うものというべきである。
 
(略)
 
上記認定事実によれば,被告らは,本件連載漫画について著作権を有するのは被告Bのみである旨及び仮に原告に何らかの権利があったとしても本件連載漫画のストーリーを用いないで登場人物の絵を使用するだけであれば著作権法上の問題を生じない旨の共通認識の下で,共同して,本件連載漫画の登場人物の絵を使用した商品化事業を遂行したものと認められるから,前述したとおり,本件商品の製造販売による著作権の侵害については,被告らは,それぞれが関与したルートの傘下に属する末端の販売業者(被告タニイを含む。)による本件商品の販売について,共同不法行為者として責任を負担するものというべきである。
 
被告らは,いずれも自己の過失を争うが,本件連載漫画の登場人物の絵の使用については,それにより著作権法上の問題を生じないかどうかを,各自が,事業の遂行に当たって自己の責任により判断すべきものであるところ,被告らは,いずれも,本件連載漫画について原告が原作原稿を著述していることについては認識があったものであり,また,本件連載漫画の登場人物の絵の使用について原告から実際に権利主張がされていることを認識していたものである。加えて,なかよしにおける本件連載漫画の各連載分に「原作 a」という形で原告のペンネームが表示されていたことに照らしても,本件連載漫画の登場人物の絵の使用につき原告が何らかの権利を有することは容易に知り得べきものであった。これらの点に照らせば,被告らに過失のあったことは明らかである。被告アース,被告ダン,被告サンブライト及び被告タニイは,被告B及び同被告の当時の代理人弁護士から本件連載漫画の登場人物の絵の利用については原告の権利は及ばない旨の説明があったことをもって過失の存在を争うが,前記の事情に照らせば,被告B及びその代理人弁護士の説明を軽信したことには,過失があったというべきである。











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