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「博士」をイメージさせる絵柄の創作性が問題となった事例
「‘博士’の絵柄事件」
平成200704日東京地方裁判所(平成18()16899 

 原告博士絵柄の創作性について
 
著作権法上の保護の対象となる著作物は,思想又は感情を創作的に表現したものでなければならず(著作権法211号),ここでいう創作的な表現とは,厳密な意味において,作成者の独創性が発揮されたものであることまでは必要でなく,その何らかの個性が発揮されたものであれば足りると解される。
 
これを本件についてみるに,原告博士絵柄は,原告商品のVHSビデオに登場する別紙原告博士絵柄目録のような博士をイメージした人物を描いた絵柄であり,…よれば,原告博士絵柄について,次のような指摘をすることができる。すなわち,…,がそれぞれ認められる。
 
上記@ないしDによれば,このような原告博士絵柄は,角帽やガウン,髭などにより,物知りの博士をイメージした人物という点で,ある程度の権威付けをしながらも,特に,幼児向けという原告商品の特性を念頭に置いて,ふっくらとした顔や目つき,2頭身や大きな手振りなどにより,優しそうで親しみのある雰囲気を描いていることに特徴があるといえる。
 
被告は,原告博士絵柄は(被告博士絵柄とともに),博士をイメージした人物としての一般的要素を取り入れ,顔の表情や色調に工夫を加えて作成されているものの,著作物としての創作性が認められないありふれた表現である旨主張する。
 そこで,この点についてみるに,…によれば,原告博士絵柄及び被告博士絵柄以外の博士をイメージした人物として,法務省の商業登記Q&Aに用いられている博士,…のさんすうおまかせビデオに用いられている博士,…のホームページに用いられているものしり博士,…に用いられている歴史博士,…のホームページに用いられている博士,…に表示されている3DCGの博士,…のおもしろ実験室のパッケージに用いられている博士及び…の宣伝に用いられている博士の絵柄があること,これらの絵柄の共通の要素として,角帽を被り,丸い鼻から髭を生やし,比較的ふくよかな体型の年配の男性であることなどを挙げることができること,が認められる。しかしながら,これらの博士のそれぞれの絵柄を見れば,共通の要素としての角帽,鼻,髭,体型等の描き方にしても様々であり,まして,色づかいやタッチなどの全体の印象を含めれば,博士をイメージさせる要素が類似するとしても,これらの博士の絵柄相互間において,表現物としての共通性があって,いずれもがありふれていると言い切ることはできないものというべきである。そして,原告博士絵柄については,上記の各博士のそれぞれの絵柄と対比して,なお博士絵柄の表現としてありふれているとまでは言えないものと認められる。
 
したがって,原告博士絵柄は,全体としてみたとき,前記のような特徴を備えた博士の絵柄の一つの表現であって,そこに作成者の個性の反映された創作性があるというべきであり,原告商品の一部を構成する原告博士絵柄の登場する画像の著作物として,創作的な表現とみることができるものと認められる。被告の主張は,採用することができない。











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