著作権重要判例要旨[トップに戻る]







放送事業者に一般的に求められる注意義務
元総領事の写真無断放送事件平成160611日東京地方裁判所(平成15()11889 

【コメント】本件は、原告作成のインターネットホームページ上の米国デンバー市を紹介したウェブサイトにおいて、原告が撮影した、原告の知人であるデンバー元総領事の写真(「本件著作物」)を掲載していたところ、平成13年当時、社会的に問題となっていた外務省における不祥事に関連する報道の一環として、被告が放送したテレビジョン番組(「本件番組」。)の中で、原告に無断で、上記元総領事の写真が使用されたことについて、原告が、被告に対し、同写真の著作権(複製権、公衆送信権)及び著作者人格権(氏名表示権、同一性保持権)を侵害されたとして、損害賠償、上記写真の複製・公衆送信の差止め等を求めた事案です。 

 前記に記載のとおり,被告と各地方のネットワーク局は,番組供給契約に基づき,ネットワークタイムとよばれる時間帯におけるテレビジョン番組を,同一時間に,同一の内容で,各地方のネットワーク局の放送エリア内で放送する。
 
そして,各地方のネットワーク局の放送エリア内における放送は,被告自身が認めているように,被告と各地方のネットワーク局との共同行為により実現するものであり,ネットワークタイムの時間帯におけるテレビジョン番組において,著作権あるいは著作者人格権を侵害する行為がされれば,各地方のネットワーク局の放送エリア内における放送においても,それぞれ著作権及び著作者人格権が侵害されることになる。
 
この点につき,被告は,各地方のネットワーク局の放送エリア内における放送は,番組供給契約に基づいて,ネットワーク回線を用い,自動的に送信されるものであるから,各地方のネットワーク局の放送エリア内における放送について,被告に故意はない旨主張する。
 
しかし,被告は,放送事業者として,自ら放送する番組において,他のウェブページに掲載された写真等の著作物を使用するに当たり,一般的に,その著作者の著作権及び著作者人格権を侵害することがないよう注意すべき義務を負うものである上,番組供給契約を締結し,ネットワークタイム時に放送するテレビジョン番組については,被告の放送エリア内だけでなく,各地方のネットワーク局の放送エリア内にも同一の内容の番組が放送されることを認識しているのであるから,これらの番組においても,著作権及び著作者人格権を侵害することがないよう注意すべき義務を負うというべきである。
 
本件において,被告は,本件ウェブページは,原告の著作物とは認識しておらず,B元領事のものと誤認していた旨主張するのみであり,それ以上に,著作者の著作権及び著作者人格権を侵害するかどうかを考慮したことは本件全証拠によっても認められないから,本件著作物の映像を本件各番組において使用したことにより,被告の放送エリア内だけでなく,本件各地方ネットワーク局の放送エリア内にも,本件著作物の映像が放送されたことについて,被告には,上記注意義務を怠った過失があるというべきである。











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