著作権重要判例要旨[トップに戻る]







肖像写真の背景をトリミングした行為を同一性保持権侵害と認定した事例
元総領事の写真無断放送事件平成170324日東京高等裁判所(平成16()3565 

【コメント】本件は、原告作成のインターネットホームページ上の米国デンバー市を紹介したウェブサイトにおいて、原告が撮影した、原告の知人であるデンバー元総領事の写真(「本件著作物」)を掲載していたところ、平成13年当時、社会的に問題となっていた外務省における不祥事に関連する報道の一環として、被告が放送したテレビジョン番組(「本件番組」。)の中で、原告に無断で、上記元総領事の写真が使用されたことについて、原告が、被告に対し、同写真の著作権(複製権、公衆送信権)及び著作者人格権(氏名表示権、同一性保持権)を侵害されたとして、損害賠償、上記写真の複製・公衆送信の差止め等を求めた事案の控訴審です。 

 氏名表示権及び同一性保持権の侵害による損害額
 
被告の公衆送信及び本件各地方ネットワーク局の各公衆送信においては,本件著作物の一部分を著作者として原告の氏名を表示しないで放送されたものであるところ,そのうち,平成13710日放送の「ニュース プラス1」及び「きょうの出来事」においては,本件ウェブページ全体の映像を映した上で,そのナレーションにおいて「A氏(管理人注:デンバー元総領事のこと)のホームページ」と述べて,同番組を見た視聴者に対し,本件著作物の出所を明示しているかのように報道し,本件著作物につき,著作者として原告の氏名を表示しなかったにとどまらず,事実と異なる出所表示をしたものであり,氏名表示権の侵害態様は重大なものがある。
 
そして,本件著作物は本件ウェブサイト上に掲載するために撮影された肖像写真であって,被告による放送に先んじて既に本件ウェブサイト上に掲載され,公開されていたものであるところ,番組において本件著作物における顔の部分は改変されていないにしても,本件著作物が,日本の国旗とコロラド州旗を背景に,テンガロンハット(いわゆるカウボーイハット)をかぶり,西部独特のジャケットを着たA元総領事の上半身の写真であるのに対し,放映された写真の中には,A元総領事の肩から上の部分だけをトリミングしてその周りに黒っぽい色の楕円形の背景を配したものがあること,そして,原告が本件著作物を撮影した目的は,デンバー総領事を好意的に紹介しコロラド州での日米友好のためにするものであって,当時の総領事の同意の下にて撮影したのが本件著作物であること,被告が本件著作物を無断で使用した報道の趣旨は,社会的問題になっていた外務省の不祥事に関連して不正疑惑の対象となる人物の顔写真として掲載したものであって,写真家としても活動している原告の創作意図に反するものであったこと,などの諸事情を総合すれば,被告の公衆送信及び本件各地方ネットワーク局の各公衆送信における本件著作物の氏名表示権及び同一性保持権の侵害による損害額(慰謝料)としては,60万円と認定するのが相当である。











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