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「事実広告」の掲載の可否
「医学書分担執筆者氏名脱漏事件」昭和550910日東京高等裁判所(昭和54()848 

【コメント】本件において、控訴人は、次のように主張しました:「仮に、被控訴人に対する謝罪広告の請求が認容されないとすれば、控訴人は被控訴人に対し、旧著作権法第三六条の二、第一項(管理人注:現行法115条に相当)の規定を根拠として、著作人格権侵害の継続を最少限度に止めるための措置として、別紙目録(ロ)記載の事実広告を、被控訴人の費用をもつて、謝罪広告の請求の場合と同様の態様をもつて、掲載することを請求する。何故ならば、現在も279冊の訂正されていない書物が世に存在するが、本書のうちこれら訂正されていない書物よりの引用が国の内外において行われた場合、更に、その引用からの二次的引用がなされた場合、控訴人の名誉と学問的人格は将来において再三毀損されることになるからである。」 


 この請求は、279冊の訂正されていない書物が現在も世に存在することにより、将来にわたつて控訴人の著作人格権が侵害される可能性があるので、かかる将来の損害発生防止のための措置として、別紙目録(ロ)記載の、事実広告の掲載を求める、というものである。
 
しかしながら、前示認定(原判決引用)の著作者人格権侵害の態様と控訴人の損害の程度、すなわち、被控訴人の過失により、本書治療編中VのF項文末及び目次同項部分には、分担執筆者の一員として控訴人の氏名も併せ掲記されるべきであつたのに、控訴人氏名の掲記が脱漏され、【A】、【C】両名の氏名のみが掲記されて、同項が右両名によつて執筆されたかのような外観を呈しているが、控訴人の医学研究者としての地位、右著作人格権侵害の態様、右侵害を生ずるに至つた経緯、その後本書第11500部のうち回収不能の279部を除いては既にその侵害部分につき訂正が行われていて、控訴人の蒙るべき将来の損害は軽微なもとのと認められる事実関係に徴すれば、原審からの請求について前示金銭賠償を認めるほかに、さらにかかる将来の損害発生防止のために控訴人主張の如き事実広告の掲載をする必要性は全くないものと解するのが相当である。











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