著作権重要判例要旨[トップに戻る]







黙示の利用許諾を認定した事例(10)
「ホテル旅館フロントシステムプログラム使用料請求事件」平成130416日東京高等裁判所(平成12()1689 

【コメント】本件は、「中・小ホテル旅館フロントシステム」との名称(「C-PAC」)のコンピュータ・プログラム(本件プログラム)について著作権を有する原告が、被告に対し、主位的に、本件プログラムの使用許諾契約(「本件契約」)が締結された旨主張して、本件契約に基づく使用許諾料の支払を求めるとともに、予備的に、被告が本件プログラムを無断で複製、翻案の上、販売したとして、本件プログラムに係る著作権(複製権又は翻案権)の侵害に基づく損害賠償を求めた事案の控訴審です。 

 以上の認定事実に基づいて判断するに、被控訴人が「長生館」及び「軽井沢プラザホテル」に対して販売、納入したC-PACの納入準備作業に当たっては、被控訴人の群馬営業所長Aの指示により、本件プログラムを基にしたカスタマイズ等の作業が行われたのであるから、これが本件プログラムの複製又は翻案に該当する可能性も否定することはできない。
 
しかしながら、そうであるとしても、以下に述べるとおり、本件プログラムに係る著作物の利用については、控訴人の明示又は黙示の許諾があったというべきである。
 
すなわち、「長生館」及び「軽井沢プラザホテル」に対するC-PACの販売については、控訴人が主導的に営業活動を展開し、事実上受注を決定していたことは前示のとおりであり、このことは、「軽井沢プラザホテル」に対する被控訴人名義の見積書の担当者押印欄に、控訴人の使用人兼取締役のF及び同従業員のB(旧姓H)の押印しかないことからも明らかである。これらのユーザーに対するC-PACの納入を控えていたことは、平成69月当時、控訴人も十分認識していたはずであり、こうした中で、控訴人は資金繰りの悪化から同月29日に事実上倒産し、自ら行うべきC-PACの納入準備作業を行うことができなくなったのであるから、控訴人としても、被控訴人が自ら又は外注するなどの方法により当該作業が遂行されることを予期していたものと推認するのが合理的である。加えて、上記認定のとおり、「長生館」及び「軽井沢プラザホテル」に納入するC-PACの納入準備作業は、控訴人の高崎事業所で行われており、しかも、その作業期間中には、控訴人の使用人兼取締役であるFの立会いの下に保守サポート業務の引継ぎが2日間にわたって行われているのであるから、控訴人において、上記納入準備作業が行われていることを知らなかったとは到底考えられない。他方、控訴人が倒産により自ら遂行することができなくなった上記作業について、本件プログラムの利用をあえて拒絶する意思が表明されたことを認めるに足りる証拠はないから、以上の事実関係の下においては、控訴人は、本件プログラムを用いて上記作業を行うことについて、被控訴人の対応に委ね、その著作物の利用を明示又は黙示に許諾していたものと認めるのが相当である
 
(略)
 
以上のとおり、被控訴人において本件プログラムの複製又は翻案をしたとしても、その著作物の利用につき控訴人の明示又は黙示の許諾があったというべきであるから、著作権の侵害を理由とする控訴人の予備的請求は、その余の点について判断するまでもなく、理由がない。











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