著作権重要判例要旨[トップに戻る]







利用許諾契約の解釈(12)-錯誤無効の成否-
「雑誌『法政』・懸賞論文事件」
平成31219日東京高等裁判所(平成2()4279 

 控訴人は、本件論文の掲載を被控訴人に対して許諾するに当たっては、本件論文が正確に掲載、刊行されることがその動機となっていたのであり、そして、かかる動機は表示されていたところ、不正確な論文が掲載されたものであるから、錯誤があったとして、本件論文の記載許諾は無効であり、掲載により利得を得た被控訴人に対し不当利得返還請求権が発生すると主張する。
 
そこで、右請求について検討するに、本件論文の記載許諾は、前記の受賞祝賀会の席における前記Aとの話の中で成立したものであることは前記認定のとおりであるところ、右席上においては、本件論文の掲載方法等に関する話が一切されていないことは…の結果から明らかである。
 
ところで、論文等の著作物の雑誌等への掲載許諾に当たっては、特段の合意がない以上、当該著作物の内容を正確に掲載することを内容とするものであることは、当事者の合理的な意思解釈として当然のことというべきであり、本件においても、これを別異に解釈する特段の合意が成立したことを認めるに足りる証拠はない。このことは、現実に掲載された内容が、結果的に正確性を欠いていたからといって、これにより債務不履行等の問題が生ずるのは格別、かかる事情により左右されるものでないことはいうまでもないところである。
 そうすると、本件論文の正確な掲載を掲載許諾の前提とした控訴人の意思に何らの錯誤はないから、控訴人の主張はその前提を欠いており、その余の点について判断するまでもなく、当審における予備的請求は失当というべきである。











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