著作権重要判例要旨[トップに戻る]







オークション出品カタログへの画像掲載が問題となった事例
「オークション出品作品無断複製事件」平成211126日東京地方裁判所(平成20()31480 

【コメント】本件は、絵画等の美術品の著作権者である原告らが、被告においてオークションの出品カタログ等に原告らが著作権を有する美術品の画像を掲載し、また、その一部をインターネットで公開したことにより、原告らの複製権及び原告Aの公衆送信権を侵害したとして、被告に対し、不法行為に基づく損害賠償等の支払を求めた事案です。

 
本件においては、次のような事実がありました。

被告は、香港において「ASIAN Post-War & Contemporary Art」の名称で、現代美術作品のオークションを開催した(本件オークション)。

訴外株式会社Cは、「art_icle」と題する無料の月刊情報誌を、毎月1回、各6万部発行し、美術館、画廊、コンサートホール、劇場等の場所に備え置き、無料で配布していたところ、同社は、その「200811月号」(本件フリーペーパー)を発行した。本件フリーペーパーには、被告からの依頼に基づき、本件オークションに出品される作品の画像を掲載したカタログが綴じ込まれていた。

被告は、「EST-OUEST NEWS」と題する被告の活動を会員に知らせる機関紙を年数回発行しており、その平成20年「10月発行号」(本件パンフレット)を発行し、9000人の被告会員に配布した。

被告は、平成20年、本件オークションに先立ち、出品作品の画像を掲載した2分冊の冊子を発行し(本件冊子カタログ)、3000円で一般に販売した。本件冊子カタログには、画像の掲載とともに、その作品のロット番号、作者名及び出生年、作品名、画材又は材質、原寸、サインの有無、予想落札価格等の情報が箇条書きで掲載されていた。作品の画像の多くは、A4サイズに収まる程度に縮小されて掲載された(この部分を「作品紹介部分」という。)。また、その巻末部分には、出品作品の作者紹介がされ、出生年、出生場所、学歴、活動歴及び受賞歴等が記載されるとともに、出品作品の画像が小さく掲載された(この部分を「作者紹介部分」という。)。 


 引用(著作権法321項)として適法かについて
 
被告は,本件フリーペーパーの綴じ込みカタログ,本件パンフレット及び本件冊子カタログに本件著作物の画像を掲載したことは,いずれも著作権法321項の「引用」として適法な行為であると主張する。
 
著作権法321項は,「公表された著作物は,引用して利用することができる。この場合において,その引用は,公正な慣行に合致するものであり,かつ,報道,批評,研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行われるものでなければならない。」と定める。ここにいう引用とは,報道,批評,研究その他の目的で,自己の著作物の中に他人の著作物の全部又は一部を採録することをいうと解され,この引用に当たるというためには,引用を含む著作物の表現形式上,引用して利用する側の著作物と,引用されて利用される側の著作物とを明瞭に区別して認識することができ,かつ,両著作物の間に前者が主,後者が従の関係があると認められる場合でなければならないというべきである(最高裁判所第三小法廷昭和55328日判決参照)。
 
前記認定事実のとおり,本件フリーペーパーの綴じ込みカタログ,本件パンフレット及び本件冊子カタログの作品紹介部分は,作者名,作品名,画材及び原寸等の箇条書きがされた文字記載とともに,本件著作物を含む本件オークション出品作品を複製した画像が掲載されたものであったことが認められるものの,この文字記載部分は,資料的事項を箇条書きしたものであるから,著作物と評価できるものとはいえない。また,このような上記カタログ等の体裁からすれば,これらのカタログ等が出品作品の絵柄がどのようなものであるかを画像により見る者に伝えるためのものであり,作品の画像のほかに記載されている文字記載部分は作品の資料的な事項にすぎず,その表現も単に事実のみを箇条書きにしたものであることからすれば,これらカタログ等の主たる部分は作品の画像であることは明らかである。本件冊子カタログの作者紹介部分についても,文字記載部分は,単に作者の略歴を記載したものであるから,著作物とはいえず,また,作品の画像が主たる部分であると認められる。
 
したがって,本件フリーペーパーの綴じ込みカタログ,本件パンフレット及び本件冊子カタログのいずれについても,本件著作物の掲載が「引用」に該当すると認めることができず,被告の主張は採用することができない。











相談してみる

ホームに戻る