著作権重要判例要旨[トップに戻る]







証拠能力
社交ダンス教室無断演奏事件平成150207日名古屋地方裁判所(平成14()2148 

[参考:民事訴訟法247条(自由心証主義)]

裁判所は、判決をするに当たり、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果をしん酌して、自由な心証により、事実についての主張を真実と認めるべきか否かを判断する。 


 前記のとおり,被告らによる管理著作物を収録したCD等の再生行為は,原告の著作権を侵害する行為であるから,これによって,原告は著作権使用料相当額の損害を被っていると認められるところ,その額は,少なくとも管理著作物の許諾を受けて利用する者が原告に対して支払うべき使用料と同額とみなされる(法1142項(管理人注:現3項))。…
 
(略)
 
また,証拠によれば,本件各施設における1日当たりの管理著作物再生回数(演奏回数)は,少なくとも原告の主張回数を下回るものではないと認められ,これに反する証拠は,その作成経緯等に照らして採用できない。
 
この点につき,被告らは,@原告提出に係る本件報告書は,原告が雇った調査会社の調査員が,被告らの意思に反してその調査目的を秘し,本件各施設に潜入して調査した結果に基づくものであり,原告の上記行為は建造物侵入罪にも該当し得るものであるから,違法収集証拠に当たること,A本件報告書にはレッスン料金やスタッフ名について明白な誤りがあること,などを理由として,その証拠能力及び信用性を争っている。
 
しかしながら,被告らの証拠能力欠如の主張が本件報告書の証拠調べが終了した後の期日に提出・陳述されたことは,本件記録に照らして明らかであり,このような場合にも,なお証拠の排除が可能であるかは疑問であるが,仮にこれを肯定するとしても,自由心証主義(民事訴訟法247条)を採用している現行法の下では,当事者の提出する証拠については,原則としてその証拠能力を肯定すべきであり,ただ,その証拠が著しく反社会的な手段を用いて,人の精神的,肉体的自由を拘束するなどの人格権侵害を伴う方法によって採集されたものであるときに限り,その証拠能力は否定されると解するのが相当である(東京高等裁判所昭和52715日判決参照)ところ,…によれば,原告は,本件各施設における管理著作物の使用実態について把握するために,調査会社である株式会社オリファに対し,上記使用実態について調査するよう委託したこと,同社は,その従業員を本件各施設に顧客として派遣し,本件各施設を経営する被告らとの間でダンス受講契約を締結し,同契約に基づく入会金,受講料等の債務をすべて履行した上で,通常のレッスンを受けさせたこと,本件報告書は調査員がダンスレッスンを受ける過程で現実に見聞した事実を報告したものであること,調査員は,事実を見聞するに際し,他人に危害を加えたり,自由意思を抑圧するなどの手段をとることはなかったこと,以上の事実が認められ,これら調査の経緯・態様に加え,調査当時,被告らが原告の著作権を侵害している蓋然性が高かったことをも考慮すれば,本件報告書を違法収集証拠としてその証拠能力を否定することはできないというべきである。
 
また,…によれば,本件報告書は調査担当者が目視確認し,あるいは講師や受講生から聴取した内容を記載したものであること,実態調査は1日のみで,調査時間も2ないし6時間程度の短時間に行われたものであり,かつ,調査員はその調査時間内にダンスの指導も併せて受けていること,以上の事実が認められるが,このような調査の性格からすれば,その内容の一部に誤りが生じたとしても何ら不自然なことではなく,これに本件報告書の内容が本訴提起後に被告らにおいて行った実態調査の結果と,管理著作物の使用回数を除き,大きな差異がないことを併せ考えると,本件報告書に一部誤りが存することをもって直ちに同報告書全体の信用性がないとはいえない。











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