著作権重要判例要旨[トップに戻る]







図案の拡大改ざん行為を同一性保持権侵害と認定した事例
「イラスト地図『パリー市鳥瞰図』無断改ざん事件」
昭和510427日大阪地方裁判所(昭和47()848 


【コメント】本件は、各種の図案を使用して紙箱等の製造販売を業とする会社である被告が、原告【B】の著作に係るイラスト地図「パリー市鳥瞰図」の中の図案を無断で一部拡大して洋服箱及び包装紙の図案として改ざんして偽作し、同洋服箱等を製造販売して同「パリー市鳥瞰図」についての原告【A】の著作権、同【B】の著作者人格権を侵害したと主張して、原告らが被告に対し損賠賠償等を求めた事案です。 

 …によると、原告【B】は地図、「パリー市鳥瞰図」を、フランス政府の協力を得て、ほぼ10年間かかり各建造物はもちろん、樹木にいたるまですべてに亘り写真撮影することなく、現場に赴いて調査し、建造物等の特徴の強調と省略とにより、略画的手法を以て手書きし、さらにこれを写真で縮少して1958年(昭和34年)にパリー市観光用地図として完成させて創作した著作権者であること及び原告【A】が昭和44106日原告【B】から右「パリー市鳥瞰図」の日本における著作権(複製権)を譲り受けたことが認められ、原告【A】が同46331日文化庁表示番号第10023号をもつて著作権譲渡の登録手続を了したこと及び被告が紙箱等の製造販売を業とする会社であることは当事者間に争いがない。
 
被告が原告主張の洋服箱及び、包装紙を製造販売したことは当事者間に争いなく、…を総合すると、被告会社の美術課に勤務していた【D】は、昭和345年頃、同僚のデザイナー及び営業担当者と相談して、本件「パリー市鳥瞰図」のエトワル凱旋門の箇所を中心に拡大して洋服箱の図案として使用することとし、被告会社はその印刷を当初大日本印刷株式会社に依頼し、昭和37年頃から同45年頃までの間右図案を貼り合わせた洋服箱を製造販売し、また、昭和44年頃本件「パリー市鳥瞰図」のエツフエル塔、エトワル凱旋門の箇所を中心に包装紙の図案として使用し、右包装紙を製造販売した事実が認められる。
 
そこで、本件「パリー市鳥瞰図」と本件洋服箱及び包装紙の図案とを対比すると、本件洋服箱及び包装紙には原告【B】の氏名が表示されていないばかりでなく、右著作物は構図が正確であり、細書きで細部まで詳細、且つ精緻に記載されており、又全体的に明るい感じを与えるところ、右洋服箱は前記のとおり右著作物の一部を拡大したことによつてその特徴を抹殺しており、本件包装紙の図案は、全体的に暗い感じを与え、各建物、構築物等の描写も不明確であるばかりでなく、有名なエツフエル塔をエトワル凱旋門の隣に配置して不正確なものに変え、又セーヌ川の両岸及びソウルフエリノ橋の様子等を改ざんするなどしている
 
以上認定の事実によると、被告自身が本件「パリー市鳥瞰図」を改ざん偽作して本件洋服箱及び包装紙の図案として使用したものと認めるべきである。
 
(略)
 
前記認定の被告の本件著作権侵害行為の態様及び右諸事情等を勘案すると、被告が原告【B】の著作者人格権に対しなした侵害による損害の賠償金は100万円と認めるのが相当であり、さらに、右原告の毀損された名誉信用について被告に対し主文第二項記載の方法で別紙記載の謝罪広告を掲載させることにより、その回復がされうべきものと認められる。











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