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学術理論に関係して撮影された写真の侵害性が問題となった事例
「歯科学‘BBO理論’論文事件」平成140726日東京地方裁判所(平成13()19546 

 原告は,被告論文の対照表の部分につき,被告論文は本件論文を複製又は翻案したもので,被告論文を掲載した本件書籍の発行,販売は,本件論文の著作権及び著作者人格権を侵害するものであると主張しているところ,複製又は翻案が認められるためには,本件論文の表現上の創作性を有する部分が被告論文と実質的に同一であるか又は被告論文から本件論文の表現上の創作性を有する部分の表現上の本質的な特徴を直接感得することができなければならないと解される。
 
そこで,以下,対照表に従って,本件論文及び被告論文について上記の点を判断する。
 
(略)
 
写真の部分について
 
[写真1について]
 
本件写真も被告写真も被写体が正面から見た人物の顔面の写真であることは共通するが,被写体の人物が異なるうえ,本件写真では,鼻骨が曲がり,下顎がずれていることを示しているのに対し,被告写真では,頭蓋骨が右後上方に変位しているために頭部を右に傾け左上方を向いていることを示しているから,被告写真が本件写真を複製又は翻案したということはできない。
 
(略)
 
[写真3(顔の変化)について]
 
本件写真も被告写真も正面から見た人物の顔面の写真であることは共通するが,被写体の人物が異なるうえ,…によると,本件写真は,「咬合調整後鼻の曲がりも少し修正」されたことを示していると認められるのに対し,被告写真は,姿勢の変化により顔も変化することを示しており,特に鼻について説明しているものではないから,被告写真が本件写真を複製又は翻案したということはできない。
 
(略)
 
[写真4(身体の状態の診断と修正方法)について]
 
本件写真も被告写真も椅子に座った人物を被写体としている点では共通する。しかし,被写体の人物が異なるうえ,その撮影方向も異なる。本件写真は,背中を椅子に当てて座っている人物の写真であるというのみであるのに対し,…によると,被告写真は,姿勢の正し方(座骨で座らせ,踏み台を使用して膝が腰より高くなるようにして,身体・頭部を修正すること)を写真で説明したものであると認められる。これらのことからすると,被告写真が本件写真を複製又は翻案したということはできない。
 
(略)
 
[写真9について]
 
本件写真も被告写真も咬合器を装着した上顎の模型を被写体としている点では共通する。しかし,両者はその模型の形状が異なるうえ,その撮影方向も異なる。また,…によると,本件写真は,咬合器及びBBOテーブルによって模型の診断を行っている状況を示していると認められるのに対して,被告写真は,咬合器に模型を装着した場合における上顎とカンペル平面との相互関係を示している。これらのことからすると,被告写真が本件写真を複製又は翻案したということはできない。
 (略)
 
以上検討したように,被告論文の対照表の部分すべてにつき,被告論文は本件論文を複製又は翻案したものであるとは認められない。
 
なお,原告は,被告論文は本件論文と理論構成が同じであるとも主張するが,そもそも,学問上の理論それ自体は,著作権の保護の対象となるものではないし,上記で認定したとおり,表現が異なっているから,被告論文は本件論文を複製又は翻案したものであるとは認められない。











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