著作権重要判例要旨[トップに戻る]







管理事業法16
「ジャズレストラン&バー‘囲む会’事件」
平成200917日大阪高等裁判所(平成19()2557 

 著作権等管理事業者は,正当な理由がなければ,取り扱っている著作物等の利用の許諾を拒んではならない(著作権等管理事業法16条)。同法は,管理事業者の登録制度や委託契約約款及び使用料規程の届出・公示等により,著作権等の管理を委託する者を保護するとともに,著作物等の利用を円滑にし,もって文化の発展に寄与することを目的とする(同法1条参照)。そして,著作権者は利用許諾をするか否かを自由に決定できる(著作権法631項参照)ことも考慮すると,上記条項にいう「正当な理由」の有無は,著作権者(著作権の管理委託者)の保護と著作権の円滑な利用という法の趣旨を勘案して,許諾業務が恣意的に運用されることを防ぐという観点から判断すべきである。
 
前提事実に認定のとおり,被控訴人協会は,過去の管理著作物を許諾なしに利用した者から利用許諾の申込みがあった場合に,過去の著作権侵害行為に係る使用料相当額を放置したまま利用許諾することは,管理著作物の利用許諾を受けて使用料を払っている誠実な利用者との間の公平を欠くとして,昭和22年ごろから,過去の管理著作物の無許諾利用に係る使用料相当額の清算を利用許諾の条件としている。このような場合にも利用を許諾しなければならないとすると,許諾を拒んで爾後の使用を違法ならしめることにより,過去の侵害行為に係る使用料相当額の損害填補を事実上促進するという効果が失われることになるから(著作権法119条参照),著作権者の利益に反すると解され,また,管理著作物の利用許諾を受けて使用料を払っている誠実な利用者との間の公平を欠くため,著作権の集中管理に対する信頼を損ない,これによる著作権の円滑な利用を害するおそれがあり,このような場合に利用許諾を拒んでも,許諾業務が恣意的に運用されるとはいえない。したがって,被控訴人協会の上記取扱いは,著作権等管理事業法16条の趣旨に反しないというべきである。なお,このような取扱いは正当な財産権の行使であって,表現の自由を考慮に入れるとしても,公序良俗に反し違法とはいえない。
 
本件についてこれをみると,前提事実記載のとおり,控訴人は,本件店舗の開店以来,被控訴人協会と音楽著作権の利用許諾契約をしたことはなく,自らその申請をしたこともなく,被控訴人協会は,遅くとも平成16514日以降,控訴人に,過去の著作権侵害に対する損害金の支払と利用許諾契約の締結を求めたが,控訴人は,仮執行宣言付判決に基づく支払を別として,これに応じていない。そして,…によれば,本件店舗では開店以来継続的に管理著作物が演奏されていたと認められる。このような事情によれば,控訴人から利用許諾の申込みがあった場合に,過去の管理著作物の無許諾利用に係る使用料相当額の清算を利用許諾の条件とすることは,著作権法等管理事業法16条の趣旨に反しないと評価できる。
 
これに対し,本件店舗で管理著作物を演奏しようとする第三者が利用許諾の申込みをした場合に,控訴人も利用主体と認められるという理由で利用許諾を拒むことは,当該第三者の管理著作物利用を過度に制約するおそれがあり,また,著作権者の利益という観点からは,控訴人に対し過去の使用料相当額の清算を促すという点では間接的である一方,当該利用許諾をすれば得られたはずの使用料収入が得られないという不利益もあるのであって,第三者が利用許諾の申込みをした場合に,被控訴人協会が,控訴人による清算を利用許諾の条件とすることは,同法16条の趣旨に反し許されないと解される。
 
しかし,本件店舗で管理著作物を演奏しようとする第三者からの利用許諾を被控訴人が拒んだことにより,控訴人が被った信用の失墜,営業損害についての具体的事実及び損害を認めるに足りる証拠はない。











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