著作権重要判例要旨[トップに戻る]







報道番組の制作編集での改変が問題となった事例
「‘盛土’マンション建設計画報道事件」平成220525日知的財産高等裁判所(平成21()10019 

 本件は,マンションの専有卸を業としている被控訴人兼附帯控訴人(一審原告。以下「被控訴人」という。)が,放送事業等を目的とする控訴人兼附帯被控訴人(一審被告。以下「控訴人」という。)に対し,被控訴人が,平成145月,横浜市中区本牧満坂所在の土地にマンション(以下「本件マンション」という。)を建設する計画を立案し,ディベロッパーに対する販売活動等に当たっていたところ,控訴人は,平成15617日,同月23日,同年910日,同年1219日及び平成16316日の5回にわたって放送された番組「スーパーモーニング」(以下「スーパーモーニング」という。)並びに同年54日に放送された番組「スーパーJチャンネル」(以下「スーパーJチャンネル」といい,「スーパーモーニング」と併せて「本件各放送」という。)において,本件マンション計画を取り上げ,これに反対する周辺住民らと結託して,本件マンションが危険なマンションであり,被控訴人が悪徳業者である旨を一般視聴者に印象付ける報道を行ったことにより,被控訴人の社会的評価は低下し,その結果,上記マンション建設予定地(以下「本件土地」という。)の売買の話が解消され,その後も,長期間売却先が見つからなかったばかりか,ようやく見つかった売却先には解消された上記売買よりも低い代金額で売却せざるを得なくなり,これによって,被控訴人は,売却代金減額等の損害,売買決済の遅れによる損害,無形損害,弁護士費用として少なくとも合計108020177円の損害を被ったと主張し,また,控訴人は,被控訴人が交付した本件マンションの完成予想図(以下「本件完成予想図」という。)を被控訴人の了解なく加工して放送に使用して被控訴人の著作者人格権を侵害し,それによって被控訴人は少なくとも50万円の損害を被ったと主張して,不法行為を理由とする損害賠償請求権に基づき,上記合計108520177円の一部である2000万円及びこれに対する不法行為の最終日である平成1654日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。
 
原審は,控訴人は,本件各放送において,本件マンションの建築が法を潜脱する実質的に違法な行為であると論評したとして名誉毀損の成立を認め,本件各放送によって被控訴人に生じた名誉・信用の低下に対する損害賠償金300万円及び弁護士費用30万円の限度で被控訴人の請求を一部認容したので,控訴人が,これを不服として,控訴人敗訴部分の取消し及び被控訴人の請求の全部棄却を求めて本件控訴を提起した。
 
これに対し,被控訴人は,被控訴人敗訴部分の取消しを求めて附帯控訴した。
 
(略)
 
[控訴人が,本件完成予想図を加工して,報道に使用したことが被控訴人の著作者人格権を侵害し,不法行為を構成するか否かについて]
 
(略)
 
「被控訴人は,控訴人による本件完成予想図の利用は,被控訴人の同意の範囲内ではない理由の根拠として,色彩を変更することや動画に編集することについてHから了承を求められたことはなかったことなどを指摘する。
 
しかしながら,被控訴人は,本件完成予想図がテレビで報道される番組の中で使用されることを十分認識した上でその使用に同意していたのであるから,控訴人が報道番組の制作編集に当たって色彩の変更や動画編集などの改変を加えることは,当然にその同意の内容として含まれていたものというべきであり,被控訴人ないしその担当者が同意する際に有していた期待や実際にその言動に現れていた個々の意向等に左右されるものではない。控訴人による本件完成予想図の利用の態様等には,その使用の同意を得る経緯等にやや不適切な点は認められるものの,著作者人格権の侵害をいうほどの違法は認めにくい。被控訴人の主張は,本件完成予想図の内容の改変ではなく,むしろ,報道された内容そのものを問題にしているものと考えられるが,報道番組の制作者は,報道の具体的な内容が取材を受ける者の個別的な意向,期待等に沿うものを制作報道しなければならないというような拘束を受けるべきものではない。
 
以上のとおりであるから,被控訴人の主張は,著作物の改変を理由として著作者人格権の侵害をいうが,その実質においては,報道された番組の内容が結果的に被控訴人の意向,期待等に沿わなかったことをいうものであって,相当ではない。」











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