著作権重要判例要旨[トップに戻る]







一般不法行為の成否-否認事例(16)-
「フランス紀行文HP掲載事件」
平成210219日東京地方裁判所(平成20()21343 

 「ただ乗り」行為との主張について
 
原告は,被告Bが,原告が原告著作物を創作するのに要した労力(額の汗)に,いわば「ただ乗り」して,被告著作物(本件部分)を作成し,被告リサイクルソリューションに提出したことにより,著作権とは別に,原告の法的に保護された権利ないし利益を侵害した旨主張する。
 
しかしながら,本件において,被告Bの行為により,著作権法により保護された原告著作物に対する原告の権利や利益の侵害とは別に,あるいは,これを超える(すなわち,著作権侵害では評価し尽くされない),原告の法的に保護された権利ないし利益が侵害されたと認めることはできない
 
よって,この点に関する原告の主張は理由がない。
 
「言い訳」行為との主張について
 
原告は,被告Bが,原告から,被告著作物が原告の著作権を侵害するものであるとの指摘を受けた際,原告著作物への依拠性を否定し,著作権侵害を否定する内容の本件文書を作成し,原告に送付したことが,虚偽による言い訳行為として不法行為(名誉毀損行為)を構成する旨主張する。
 
…によれば,本件文書中には,「この草稿にあたっては,(中略),現地で見聞きしたこと,現地のパンフレットのほかジョバンナ・マージ著の「プロヴァンス」ほか数点の日本語訳本を参考に,また自宅近くの図書館へ行くなど私なりに勉強をした上で書いたものであり,その中に貴殿の文章は入っておりません。従いまして,貴殿の文章を拝見したのは今回が初めてであり,確かに似ている部分があるとは感じるものの,決して貴殿の文章を引用したのではないということをまずはご理解賜りたく存じます。」,「このネット社会において様々な情報が入り乱れるなか,貴殿の文章が複数のルートを経由し,これを読んだ何某かの著者の書いた文章が,私の読んだ資料にあった可能性は捨て切れません。その結果として部分的に酷似した文章となってしまったのであるならば,このことによって貴殿に不快な想いをさせてしまったことは誠に遺憾であり深くお詫びするものであります。しかしながら貴殿の文章を直接見ながら書いたのではないという点,あらためてご理解を賜りますよう重ねてお願い申し上げます。」などと記載されていたことが認められる。
 上記認定によれば,被告Bが原告の著作権を侵害する行為を行ったとの原告からの申し入れについて,被告Bは,本件文書により,原告の著作権を侵害する行為は行っていない旨回答したものと認めることができる。
 
そして,前記前提となる事実及び法律関係で述べたとおり,被告Bは,原告の原告著作物に対する著作権及び著作者人格権を侵害したものと認められるから,上記回答の内容は,上記認定に反するものであるといえる。
 しかしながら,訴訟前の交渉において,被告Bが,事実と異なることを述べたことがあったとしても,被告Bが,原告に対し,本件文書を送付したことにより,原告の権利行使が客観的に妨げられる事態が生じたなどの事情は認められないのであって,被告Bの上記行為により,原告の法的に保護される権利や利益が侵害されたとは認められず,原告に対する不法行為を構成するとはいえない
 
また,本件文書の記載内容は,客観的にみて,原告の社会的名誉や名誉感情を侵害する違法なものであるということはできないから,原告が本件文書の記載内容につき不快の念を抱いたことがあったとしても,不法行為は成立しないというべきである。
 
よって,この点に関する原告の主張も理由がない。











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