著作権重要判例要旨[トップに戻る]







業務用通信カラオケ事業者の注意義務
「韓国楽曲の著作権信託譲渡契約事件」
平成220210日東京地方裁判所(平成16()18443 

【コメント】本件は、著作権等管理事業者であり、韓国の楽曲について著作権の信託譲渡を受けたと主張する原告が、通信カラオケ事業者である被告に対し、著作権(複製権、公衆送信権)侵害に基づく損害賠償請求等を求めた事案です。
 
本件における被告は、音響機器のリース及び販売等を目的とする株式会社であり、カラオケ用楽曲データ(歌詞データを含む。以下「楽曲データ」という。)を、著作権者から複製又は公衆送信の許諾を得て作成し、自らの製造に係る業務用通信カラオケ装置(以下「カラオケ端末機」という。)のハードディスクに搭載する等した上、通信カラオケリース業者に対してカラオケ端末機の販売等を行う通信カラオケ業者です。 


 故意過失について
 
争いのない事実等のとおり,被告は,楽曲データを,著作権者から複製又は公衆送信の許諾を得て作成し,自らの製造に係るカラオケ端末機のハードディスクに搭載する等した上,通信カラオケリース業者に対してカラオケ端末機の販売等を行う株式会社であるところ,このような業務用通信カラオケ事業者であれば,他人の著作物を利用する際には,その著作権を侵害することのないよう,当該著作権の帰属を調査し,事前に著作権者から複製又は公衆送信の許諾を得るべく万全の注意を尽くす義務がある。特に,本件においては,平成13101日の著作権等管理事業法の施行後は,JASRAC以外の著作権等管理事業者が存在する可能性があり,争いのない事実等のとおり,現に,平成14628日に原告が著作権等管理事業者として登録し,同年8月以降,被告の加入するAMEIを訪問する等して,断続的ながら交渉していたものであり,また,請求対象期間である平成14628日から平成167月末日までの間は,韓国の唯一の著作権管理事業者のKOMCAとJASRACとの間の相互管理契約の締結による著作権の管理も行われておらず,そのことは周知の事実であったのであるから,被告においては,利用しようとする楽曲に関し,事前に著作権の所在等について調査検討し,著作権者から許諾を得る等して,著作権侵害の結果を防止すべき注意義務があった。
 
しかしながら,被告は,これを怠り,漫然と請求対象楽曲の利用を継続してきたのであるから,被告には,過失があったというべきである。
 
被告は,原告から楽曲のリストの交付を受けるまでは対象となる楽曲が分からず,その後も,被告が求めても原告は説明・資料を提出せず,平成1821日に根拠資料を提出するに至ったから,請求対象期間すべて,又は,少なくとも平成155月までの間は,過失はない等と主張する。
 
しかしながら,上記のとおり,他人の著作物を利用しようとする場合には,自ら,著作権者の許諾を得るべく,事前に著作権の所在等について調査し,検討すべきところ,被告は,何ら積極的に権利関係について調査検討した様子はないから,原告の対応が上記のとおりであったとしても,被告が注意義務を果たしたということはできない。
 
したがって,被告の主張を採用することはできない。











相談してみる

ホームに戻る