著作権重要判例要旨[トップに戻る]







マトリックス(行列表)の著作物性
「QCサークル活動事件」
平成220218日大阪地方裁判所(平成20()172 

 原告Xは,テーマ選定マトリックス及びQCサークル活動記録表1ないし3が著作権法上保護される著作物に該当する旨主張する。
 
著作権法は,「著作物」を「思想又は感情を創作的に表現したものであって,文芸,学術,美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」と定めており(211号),思想又は感情の創作的な表現を保護するものであるから,思想,感情若しくはアイデアなど表現それ自体でないもの又は表現上の創作性がないものについては,著作権法によって保護することはできず,これを著作物ということはできない。
 
テーマ選定マトリックスは,職場等における問題点をテーマ候補として選び,そのテーマ候補について「利用者の満足」等の評価項目毎に順位付けを行って5から1までの数字を記載し,記載された数字を用いて一定の計算(計算方法については別紙著作物目録11に記載のとおり。)を行ってテーマ候補の選定順位を決めるというものであるが,このようなテーマ候補の選定順位の決定方法自体はアイデアであって表現ではない。そして,テーマ選定マトリックスの表は,縦線と横線を交差させて作成した単純な表に「評価項目」や「テーマの候補」などを記入するという極めてありふれたものであり,上記アイデアを表現する表としての表現上の創作性を認めることは到底できない
 
また,QCサークル活動記録表1は,四角で囲まれた空欄の左上に「現状把握@ 縮小して貼付する。」などと記載されているだけのものであり,QCサークル活動記録表2も,「現状把握の結果から分かったこと@〜D」,「目標値の設定」と記載されているだけで他の部分が空欄となっているものであり,QCサークル活動表3も,対策立案実施について,「特性要因図の対策要因の番号順に対策要因図を書き挙げる。」,「対策要因毎にマトリックスの項目毎の検討をしまとめる。」と記載された下に,縦線と横線を交差させて作成した表に「対策要因」,「どうする」,「具体的な方法」,「担当者」,「場所」,「何時迄に」と記載されているだけであって,いずれもQCサークル活動の内容を記録する個所を設けた単純な表であり,このような記録表は,その内容(アイデア)の独創性いかんはともかく,表現としては極めてありふれたものであるから,これらについても表現上の創作性を認めることはできない
 したがって,テーマ選定マトリックス及びQCサークル活動記録表1ないし3は,いずれも著作権法上保護される著作物とは認められない。











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