著作権重要判例要旨[トップに戻る]







差止の射程範囲(3)
「‘営業’関連書籍・配布資料複製翻案事件」平成190830日東京地方裁判所(平成18()5752/平成200212日知的財産高等裁判所(平成19()10079 

【コメント】本件は、原告らが、被告に対し、被告が執筆した被告書籍が、原告書籍又は原告配布資料等を複製又は翻案しているとして、被告書籍の販売等差止め及び廃棄、損害賠償等を求めた事案です。

「主文
1 被告は,別紙著作権侵害箇所目録記載の文章又は図を掲載した別紙被告書籍目録記載の書籍を販売し,又は頒布してはならない。
2 被告は,別紙被告書籍目録記載の書籍における別紙著作権侵害箇所目録記載の文章又は図を掲載した部分を廃棄せよ。」 


【原審】

 
被告書籍全体の差止め及び廃棄が認められるかについて
 
…によれば,被告書籍の総頁数は238頁であり,その本文は,…からなること,前記において著作権侵害が認められた箇所は,第2章のうち0.5頁,第4章のうち2頁,第5章のうち3頁,第6章のうち2.5頁の合計8頁であることが認められる。
 
以上のとおり,原告書籍等の著作権を侵害している箇所は,被告書籍の一部分である。しかし,被告書籍が著作権侵害箇所目録記載の箇所を掲載して,全体として一冊の本として出版発行されている限りは,被告書籍の出版により,原告らの意思に反して原告書籍等の無断複製物ないし翻案物を頒布又は販売することになるのであるから,著作権侵害箇所目録記載の箇所を掲載した被告書籍の印刷・出版発行の差止めを認めざるを得ない。ただし,著作権侵害箇所目録記載の箇所とその余の箇所は可分であり,被告書籍の大半を占める部分は,原告らの著作権を侵害しない部分であることからすれば,原告らの著作権を侵害している箇所に限って,その廃棄が認められるというべきである。

【控訴審】

 被告書籍全体の差止め及び廃棄が認められるかについて
 
原判決は,被告書籍(原判決別紙被告書籍目録記載の書籍)のうち,控訴人らの著作権を侵害した部分を廃棄することを認めたのに対し,控訴人らは,被告書籍の全体に対して廃棄が認められるべきである旨主張する。
 
しかし,被告書籍のどの部分が控訴人らの著作権等を侵害したかについての原判決の認定に誤りがないことは,上記のとおりであり,侵害部分の頁数の少なさや被告書籍の内容が複数の内容に分かれるものであり,侵害部分の内容は他の部分と可分であるといえることからも,廃棄する部分を,被告書籍のうちの控訴人らの著作権を侵害した部分とした原判決の判断は正当である
 
(略)
 
さらに,控訴人らは,控訴人らの各書籍において,「必勝6連発の術」が受注の方程式として必須のものであり,著作物の根幹を流れていて,原告著作物目録…が原告著作物の創作性の根幹をなすところ,被告著作物目録は,この原告著作物の根幹部分の複製ないし翻案であり,被控訴人は,控訴人らの著作物の根幹部分を侵害しているので,被告書籍の全体に対して廃棄が認められるべきである旨主張し,また,控訴人らの営業プログラムが著名である旨主張する。
 
前記引用に係る原判決…のとおり,被告著作物目録は,原告著作物目録…の複製に当たるものであるが,被告書籍においては,被告著作物目録に記載されている以外の内容も含む部分が割合的に相当に大きいのであるから,控訴人らの「必勝6連発の術」が,控訴人らの各書籍においては根幹をなす思想であり,また,その営業プログラムが著名であるとしても,それらのことは,被告書籍全体に対して廃棄を求めることができないとの上記判断を左右するものではない。











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