著作権重要判例要旨[トップに戻る]







民訴法248条の適用事例
芸能タレントインタビュー事件」平成151128日東京地方裁判所(平成15()17310 

【コメント】本件は、原告が被告に対し、被告が芸能タレントAのインタビュー記事、肖像写真及び音声メッセージを「本件サイト」に掲載したことにつき、主位的に、上記インタビュー記事等を「本件雑誌」の12月号にのみ掲載する旨の合意に反したという債務不履行、又は上記雑誌の販売期間である1か月に限り上記インタビュー記事等を「本件サイト」に掲載する旨の合意に反したという債務不履行を理由として、予備的に、上記インタビュー記事及び音声メッセージに係る著作権侵害並びに上記肖像写真に係る肖像権侵害に基づく不法行為を理由として、損害賠償金を請求した事案です。

 
本件においては、次のような事実関係がありました。

原告は、芸能プロダクションであり、その業務の一部として、その所属、契約芸能タレントをマスメディアの求めに応じ、テレビ、雑誌等のインタビューを受ける形で芸能タレントの出演に係る芸能に関する各種の権利、情報を提供する等の経済取引活動を行っている。一方、被告は、タレント・アンド・スカウトマガジンとして月刊雑誌「オーディション」(「本件雑誌」)を毎月1回発行している。

Aは、原告との間で専属芸術家契約を締結した芸能タレントであり、同契約によると、@Aの氏名、写真、肖像、筆跡及び経歴等についての財産上の権利を原告が独占的に有し、A第三者が企画、構成、演出したコンサート、映画、演劇、テレビ、ラジオ、コマーシャルへの出演その他の出演業務の遂行により制作された著作物、商品その他のものに関する著作権等一切の権利は原告に帰属するものとされている。

被告は、原告に対し、平成1410月初旬ころ、本件雑誌12月号の記事の1頁にAのインタビュー記事と肖像写真を掲載する企画を立て、Aのインタビューと肖像写真の撮影を申し込んだ。原告は、本件雑誌12月号にAのインタビュー記事及び肖像写真を掲載することを承諾した。

Aは、同年1015日、マネージャーのBとともに被告の本社に行き、本社ビルの会議室で、本件雑誌の編集担当社員のC、ライターのD及びカメラマンのEと面会し、同人らがAにインタビューするなど取材を行った。

被告は、本件雑誌12月号にAのインタビュー記事と肖像写真を掲載したほか、同年1028日ころから平成1567日ころまでの間、被告が開設運営している携帯電話サイトである「オーディション・コム」(「本件サイト」)の「先輩に聞こう」のコーナーに、Aのインタビュー記事、肖像写真及び音声メッセージを掲載した。

[参考:民訴法248条(損害額の認定)]

損害が生じたことが認められる場合において、損害の性質上その額を立証することが極めて困難であるときは、裁判所は、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき、相当な損害額を認定することができる。 


 原告は,被告に対し,上記インタビュー記事等を本件サイトに掲載すること自体承諾していないと主張する。しかしながら,前記認定の事実によれば,@F(管理人注:本件サイトの責任者)は,Bに対し,Aのインタビュー記事,肖像写真及び音声メッセージの本件サイトへの掲載を申し出,Bは,これに対して後日企画書を原告に送付するように指示し,それを前提にAに音声メッセージの録音に応じさせていること,AFは,Bに対し.本件サイトの企画書を送付し,同企画書は原告において検討されていること,BFは,Dに対し,平成141023日に,本件サイトへの掲載についてOKが出た旨述べていること,CBは,被告から送付されたAのインタビュー記事の本件サイトへの掲載について原告の重役から了解を得て被告に対して訂正はないと返事をしていること,DBは,本件サイトにAのインタビュー記事等が掲載されているのを発見してFに対し電話した際,掲載自体を抗議する言動を行っていないことが認められる。そうすると,原告は,遅くとも,Dから本件サイトの企画書の送付を受けた後の平成141023日までに,Bを通じてFに対して上記インタビュー記事等の本件サイトへの掲載を許諾したものと認めるのが相当である。
 
そして,許諾を与えた掲載期間については,本件サイトは本件雑誌の携帯サイトであり本件雑誌と連動していること,前記で認定したとおり,FはBに対し本件雑誌の発売期間と同じ位になる旨答えていること,Bも平成1567日ころのFへの電話の中で掲載期間は短期間であることを前提として述べていることからすると,本件雑誌12月号の発売期間である1か月であったものと認められる。
 
よって,原告と被告との間で,上記インタビュー記事,音声メッセージ及び肖像写真を本件サイトに1か月に限り掲載するとの合意が成立したものと認めるのが相当である。
 
以上によれば,被告が平成141028日ころから平成1567日ころまでの間上記インタビュー記事等を本件サイトに掲載した行為は,上記合意に違反するものであり,また,前記で認定した事実経過からすると,被告は,上記1か月経過後,上記インタビュー記事等を本件サイトから抹消するのを怠り,さらに6か月以上にわたり掲載し続けたと認められるから,被告は原告に対して債務不履行責任を負うものと解される。
 
[損害の発生及び数額について]
 
()
 
前記のとおり,被告は,平成141028日ころから平成1567日ころまで,当初の1か月を除く6か月以上にわたって,原告との合意に違反して許諾なくAのインタビュー記事,音声メッセージ及び肖像写真を本件サイトに掲載していたものであって,上記債務不履行により原告に損害が生じたことが認められる。
 
(略)
 
原告に生じた損害は,その性質上,その額を立証することが極めて困難と認められる。よって,被告の債務不履行と相当因果関係のある原告の損害額については,民訴法248条を適用し,以上の事実及び口頭弁論の全趣旨を総合し,インタビュー記事,音声メッセージ及び肖像写真分を合わせて,100万円と認める。











相談してみる

ホームに戻る