著作権重要判例要旨[トップに戻る]







劇場映画をテレビ放送する際のCMの挿入部分の指定の同一性保持権侵害性が問題となった事例
「劇場映画『スウィートホーム』ビデオ化販売事件」
平成100713日東京高等裁判所(平成7()3529 

 Aが本件映画のテレビ放映に際し、販売及びレンタル用のビデオと同様にトリミングをした上、テレビ・コマーシャルの挿入箇所を指定した本件テレビ放映用ビデオを作製したことは当事者間に争いがなく、また、劇場映画を民間放送で長時間にわたり放映する場合には、テレビ・コマーシャルを挿入する必要のあることが通例であることは、弁論の全趣旨により認められる。そして、検証の結果(当審)によれば、テレビ・コマーシャルの挿入指定箇所は、6箇所であることが認められる。
 
一般に、テレビ・コマーシャルの挿入が必要であるとしても、著作者である監督の了解を得ないで行われたその挿入は、当然に正当化されるものではなく、その挿入の回数、時間、挿入箇所等の内容によっては、当該劇場映画が視聴者に与える印象に影響を及ぼすものと認められるから、その態様如何によっては、著作権法201項に規定する「意に反」する「改変」に該当する場合があると解される。本件では、具体的なテレビ・コマーシャルの挿入箇所の指定につき、Aが、控訴人の了解を得たことを的確に認めることのできる証拠はない(本件映画の最終段階で、控訴人が、Aの編集等につき、特段の異議を述べていなかったとしても、それだけで、控訴人が具体的なテレビ・コマーシャルの挿入に了解していたことにならないことは、本件映画のビデオ化について述べたところと同じである。また、Aが本件映画の製作総指揮の地位にあることによって、改変行為を正当化することができないことも、本件映画のビデオ化について述べたところと同じである。)。
 
しかし、前記認定のとおり、本件では、控訴人が本件映画のビデオ化、テレビ放映などの二次的利用を広く承諾していたものであり、その中には、当然、民間放送でのテレビ放映も含まれ、しかも、テレビ放映の際の6箇所のテレビ・コマーシャルの挿入部分の指定も、前記トリミング及び改変と同様、本件映画の製作総指揮として編集等を実質的に取り仕切ったAにより慎重な配慮に基づいて行われたものであり、その回数、時間、挿入箇所等を併せ考えても、これらのテレビ・コマーシャルの挿入箇所の指定は、控訴人の了解の範囲内にあるものと認められるから、著作権法2024号に規定する「著作物の性質並びにその利用の目的及び態様に照らしやむを得ない改変」に該当するものと認めるのが相当である(本件映画のビデオ化におけるトリミングと同様に、Aとしては、事前に著作者人格権を有する監督としての控訴人に意見を述べる機会を与えることが望ましかったとはいえるが、それを怠ったからといって、「やむを得ないと認められる改変」に該当しないものということはできない。)。











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