著作権重要判例要旨[トップに戻る]







「著作物」の意義(7)
「『SMAP』インタビュー記事事件」
平成101029日東京地方裁判所(平成7()19455/平成110526日東京高等裁判所(平成10()5223 

【原審】

 
著作物とは、「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」をいい(著作権法211号)、その中には「小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物」(同法1011号)が含まれるが、「事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道」は、著作物に該当しないとされている(同条2項)。
 
右の「思想又は感情」は人間の精神活動全般を指し、単に事実(社会的事実、歴史的事実、自然現象に関する事実等)のみを記載したものは著作物には当たらない。また、「創作的」とは、表現の内容について独創性や新規性があることを必要とするものではなく、思想又は感情を表現する具体的形式に作成者の個性が表れていれば足りる。したがって、客観的な事実を素材とする表現であっても、取り上げる素材の選択、配列や、具体的な用語の選択、言い回しその他の文章表現に創作性が認められ、作成者の評価、批判等の思想、感情が表現されていれば著作物に該当するということができ、著作権法102項は、単なる日々の社会事象そのままの報道や、人事異動、死亡記事等、事実だけを羅列した記事が著作物でないことを確認的に規定したものである。さらに、「文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属する」とは、知的、文化的精神活動の所産全般を指すものである。
 
また、一個の著作物の一部でも、その部分のみで右にいう思想又は感情の創作的表現であると認められれば、これを著作物ということができる
 
これを本件についてみるに、原告記事のうち、原告らが著作権、著作者人格権の侵害があったと主張する別紙「対照表」記載の原告記事のうちには、専ら原告個人らに関する事実を内容とするものもあるが、当該事実を別の表現方法を用いて記述することも可能であると解され、具体的な文章表現に各原告記事を作成した者の個性が表れているといえるから、これらも著作物であるということができる。
 
したがって、右対照表記載の原告記事は、いずれも著作権法にいう著作物に該当すると認められる。

【控訴審】

 
控訴人らは、被控訴人記事@ないしC、G、IないしMが、原告個人らに関する事実を内容とし、その体裁においても、原告個人らのインタビューに答えた発言をそのまま文章化した表現形式をとっており、その故に、これらの記事は、その言い回しや語り口を含めて、原告個人らそれぞれの「思想又は感情」の表現そのものとして読者らに理解されるべき記事として作成されたものであり、その執筆者の創作的特徴の認められないものであるとして、著作権法102項の「事実の伝達にすぎない雑報」であると主張す(る。)
 
右主張は、必ずしもその趣旨が明瞭とはいえないが、著作権法211号にいう「思想又は感情」が人間の精神活動全般をいい、また「創作的」が思想又は感情を表現する具体的形式に作成者の個性が表れていれば足りること、したがって、客観的事実を素材とする表現であっても、取り上げる素材の選択や配列、具体的な用語の選択、言い回しその他の文章表現に作成者の個性が認められ、作成者の思想、感情が表現されていれば著作物に該当するが、人事異動、死亡記事等の事実のみを羅列した記事が著作物に当たらず、同法102項が「事実の伝達にすぎない雑報」等について著作物に該当しないとしたのは、そのことを確認的に規定したものであること、被控訴人記事@ないしC、G、IないしMを含む対照表記載の被控訴人記事が、原告個人らに関する事実を内容とするものであっても、当該事実を別の表現方法を用いて記述することも可能であると解され、したがって、対照表記載の被控訴人記事はいずれも具体的な文章表現にその作成者の個性が表れており、著作物と認められることは、前示(原判決…)のとおりであり、そのうちの被控訴人記事@ないしC、G、IないしMが、著作物に該当しない同法102項の「事実の伝達にすぎない雑報」であるとの主張は失当である。











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