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プログラムの著作物の侵害性が問題となった事例(6)
「出版社業務管理ソフト複製翻案事件」平成110827日東京地方裁判所(平成10()20162 

【コメント】本件は、原告が、「被告ソフトは、被告が、本件ソフトを複製し、その内容に一部変更を加えたものである。そのことは、被告ソフト及び本件ソフトを構成するファイルの名称、ファイルの内容、画面の表示等からすると、明らかである。」と主張して、被告ソフトの複製等の禁止を求めた事案です。 

 被告ソフトは、本件ソフトと、次のような共通点を有することが認められる。
 
本件ソフトの納品入力画面は、「☆☆書籍納品書☆☆」という見出しに続いて、「種目」等の項目の入力欄があり、項目名を表示した欄が緑色で着色されているところ、その2行目の右端から2番目は「伝番」欄、4行目の右端から2番目は「セット名」欄であり、いずれも緑色に着色されている。
 
一方、被告ソフトの納品入力画面も、本件ソフト同様、「☆☆書籍納品書☆☆」という見出しに続いて、「種目」等の項目の入力欄があり、項目名を表示した欄が緑色で着色されているところ、その2行目の右端から2番目の欄及び4行目の右端から2番目の欄は、被告ソフトにおいては、項目名が表示されていないにもかかわらず、本件ソフトと同様に緑色に着色されている。
 
また、被告ソフトの納品入力画面は、本件ソフトの納品入力画面と、「☆☆書籍納品書☆☆」という見出しの文字、その位置及びそれに掛けられている色が同一である。入力項目、その配列、項目名の文字の位置及び各欄の色は、本件ソフトの「連番」欄の位置に被告ソフトの「伝番」欄があり、本件ソフトの「伝番」及び「セット名」の各欄が、右のとおり被告ソフトでは空欄であること、本件ソフトでは、摘要欄が下部に2欄設けられているが、被告ソフトでは、備考欄が、中ほどに3欄設けられていること、本件ソフトの「定価」、「定価金額」、「掛」の各欄が、被告ソフトでは、「本体」、「本体金額」、「正味」の各欄であることを除いては、同一である。
 
さらに、本件ソフトの「Dー納品書・w」ファイルは、右納品入力画面を制御するプログラムファイルであり、「☆☆書籍納品書☆☆」という見出しに続いて、項目欄を表示するためのプログラム部分がある。その一行目の左端の、「種目」という項目名を表示するためのプログラム部分は、「X種目」であるところ、この「X」の文字は、右項目名を表示するためには本来不要なものである。
 
被告ソフトの「Dー納品書・w」ファイルも、右納品入力画面を制御するプログラムファイルであり、「☆☆書籍納品書☆☆」という見出しに続いて、項目欄を表示するためのプログラム部分があるが、その一行目の左端の「種目」という項目名を表示するためのプログラム部分は、本件ソフトと同様に「X種目」である。
 
被告ソフトの仕入入力画面は、本件ソフトの仕入入力画面と、「仕入先台帳の登録」という見出しがある点以外は同一である。 
 被告ソフトの「仕入先H・w」ファイルは、右仕入入力画面を制御するプログラムファイルであるところ、ステートメントの間に空行を挿入したほかは、本件ソフトの「仕入先H・w」ファイルと同一である。
 
被告ソフトの倉庫入力画面は、本件ソフトの倉庫入力画面と、「倉庫区分の登録」という見出しがある点以外は同一である。被告ソフトの「倉庫H・w」ファイルは、右倉庫入力画面を制御するプログラムファイルであるところ、ステートメントの間に空行を挿入したほかは、本件ソフトの「倉庫H・w」ファイルと同一である。
 
被告ソフトの入庫入力画面は、本件ソフトの入庫(仕入)入力画面と、入力項目及びその配列、各項目の項目名の文字の位置、入力箇所の位置、幅、高さが共通するものが多い。
 
被告ソフトの入金入力画面は、本件ソフトの入金入力画面と、「種目C」「種目名」の項目があり、「更」の項目がない点及び「入金データの入力」という見出しがある点で相違するが、いずれも、入力欄が2段にわたっており、また、1段目の「入金日」から2段目の「取引条件」までの項目については、「客C」が「顧客C」となっている以外は、項目及びその配列、形式が同一であり、最後の項目が備考欄である点も共通している。
 
被告ソフトの納品区分入力画面は、本件ソフトの納品区分入力画面と、入力項目及びその配列、各項目の項目名の文字の位置、入力箇所の位置、幅、高さが共通するものが多い。
 
被告ソフトのメニュー画面は、本件ソフトのメニュー画面に比べ、メニュー数が多く、メニューの内容にも異なる点があるが、以下のメニューについてオペレーション番号が一致している。
 
(略)
 
被告ソフトの構成ファイルは、本件ソフトの構成ファイルと名称が同一のものが多く見られ、同一名称のファイルは、ファイルの容量も同程度のものが多い。
 
また、被告ソフトの構成ファイルには、名前が「@」や「Dー」で始まるものが見られるが、本件ソフトの構成ファイルにも、同様のものが見られる。
 右で認定した事実、殊に、被告ソフトにおいて、画面に項目名が表示されていないにもかかわらず、本件ソフトと同様に緑色に着色されている部分があること及び被告ソフトのプログラムファイルにおいて、本件ソフトと同様に不要な「X」が挿入されていることに、前記のとおり、被告ソフトの製作者である【C】は、従前原告において本件ソフトを含むソフトウエアの開発に携わっていた者であること及び弁論の全趣旨を総合すると、被告ソフトの主要部分は、本件ソフトを複製した上、それに改変を加えて作成されたものであると認められる
 
ところで、…によると、被告ソフトは、構成するファイル数が、本件ソフトに比べて多いことが認められる。これは、被告ソフトは、本件ソフトを複製改変したファイルに、別の機能等を有するファイルを付け加えたためであると推認することができる。
 
以上述べたところに、右で認定した事実と弁論の全趣旨を総合すると、被告ソフトのうち本件ソフトを複製改変した部分は、本件ソフトを複製又は翻案したものであると認められる。
 
前記のとおり、(1)被告ソフト及び本件ソフトが、いずれも日本語データベースソフトであるNOA2000R上で作動するものであること、(2)被告ソフト及び本件ソフトは、いずれも出版社の業務管理用のソフトウエアであることからすると、被告ソフトと本件ソフトとでは、類似する点が存することを避けることができないが、右で認定した被告ソフトと本件ソフトとの共通点は、右の意味における類似にとどまらないというべきであるから、右(1)(2)の事実は、右の認定を覆すに足りるものではない。











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