著作権重要判例要旨[トップに戻る]







ゲームソフトのキャラクターの図柄の改変を同一性保持権侵害と認定した事例
「『ときめきメモリアル』vs.『どぎまぎイマジネーション』事件」
平成110830日東京地方裁判所(平成10()15575 

 同一性保持権侵害について
 
…によれば、本件ゲームソフトは、前記のとおり、架空の高校「きらめき高校」における恋愛シミュレーションゲームであるが、登場人物である藤崎詩織は、優等生的で、清純な、さわやかな印象を与える性格付けがされている。本件ゲームソフトにおいては、ゲームプレイヤーの操作する男子生徒は、学園生活や日常生活を通して、登場人物である藤崎詩織などと恋愛関係を形成する設定がされているが、藤崎詩織が性的行為を行うような場面は存在しない。
 
他方、…によれば、本件ビデオは、本件ゲームソフトにおいて、男子生徒が藤崎詩織から愛の告白を受けた最終場面の続編として設定され、清純な女子高校生と性格付けられていた登場人物の藤崎詩織が、伝説の樹の下で、男子生徒との性行為を繰り返し行うという、露骨な性描写を内容とする、10分程度の成人向けのアニメーションビデオとして制作されている。
 
確かに、本件ビデオにおいては、藤崎詩織の名前が用いられていないが、@本件ビデオのパッケージにおける女子高校生の図柄と、本件ゲームソフトのパッケージにおける藤崎詩織の図柄とを対比すると、前記認定した共通の類似点がある他、さらに、後髪を向かって左側になびかせている点、首をやや左側に傾けている点、頭頂部に極く短い髪を描いている点、髪の毛に白色のハイライトを付けている点など細部に至るまで酷似していること、A本件ビデオのパッケージにおける「どぎまぎイマジネーション」というタイトルの選択、各文字のデザイン及び色彩、青い波形の背景デザインなど、本件ゲームソフトのパッケージにおける各部分と類似していること、B本件ビデオにおいて、「本当の気持ち、告白します。」と表記され、本件ゲームソフトとの関連性を連想させる説明がされていること等の事実から、本件ビデオの購入者は、右ビデオにおける女子高校生を藤崎詩織であると認識するものと解するのが相当である。
 
以上によると、被告は、本件ビデオにおいて、本件藤崎の図柄を、性行為を行う姿に改変しているというべきであり、原告の有する、本件藤崎の図柄に係る同一性保持権を侵害している
 
(略)
 
[同一性保持権侵害による損害]
 
…によれば、本件ゲームソフトは平成103月に120万本の販売実績を上げ、ヒット商品として好評を博したこと、原告は、平成7年に、本件ゲームソフトにより、日本ソフトウェア大賞のエンターテイメントソフト部門優秀賞やその他の賞を多数獲得したこと、登場人物である藤崎詩織に対する人気も高まり、平成7年ころのコンピュータゲーム誌上におけるゲームキャラクター人気投票で、藤崎詩織が1位に選ばれたこと、二次的著作物として、藤崎詩織を仮想アイドル歌手としたCDが発売されたり、登場人物のイラスト集やその他の関連商品が販売されたり、実写映画が上映されたり、小説が刊行されたりしたことが認められ、右経緯に照らすと、本件ゲームソフトにおいては、登場人物である藤崎詩織の優等生的で、清純な、さわやかな印象を与える性格付けが、本件ゲームソフト及び関連商品の売上げ及び人気の向上に大きく寄与していると解するのが相当である。
 
ところで、被告の同一性保持権侵害行為の態様は、前記のとおり、清純な女子高校生と性格付けられていた登場人物の藤崎詩織と分かる女子高校生が男子生徒との性行為を繰り返し行うという、露骨な性描写を内容とする、成人向けのアニメーションビデオに改変、制作したというものであり、被告の行為は、原告が本件ゲームソフトを著作し、その登場人物である藤崎詩織の性格付けに対する創作意図ないし目的を著しくゆがめる、極めて悪質な行為であるということができる。
 
そうすると、本件ゲームソフトの内容及び被告の行為の態様が前記認定のとおりであること、被告の行為によって受けた原告の信用毀損は少なくないと解されること等一切の事情を総合考慮すると、被告の改変行為により生じた原告の無形損害を金銭に評価した額は、200万円と解するのが相当である。











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