著作権重要判例要旨[トップに戻る]







1131項関係(4)
「三島由紀夫手紙事件」平成120523日東京高等裁判所(平成11()5631 

【コメント】本件は、原告ら(亡Fの相続人)が、Fが書いた未公表の手紙を掲載して、書籍を発行した被告らの行為が、@原告らが相続したFの当該手紙に係る複製権を侵害する行為であり、また、AFが生存していたならばその公表権の侵害となるべき行為であると主張して、当該書籍の出版等の差止め、損害賠償の支払及び謝罪広告等を請求した事案の控訴審です。 

 控訴人らは、頒布が禁止されるのが「情を知って」の場合に限られることは、著作権法11312号が明文をもって定めるところであるのに、被控訴人らは、頒布差止め請求についての「情を知って」という要件を主張していない旨主張する。
 
しかし、著作権法11312号は、著作権侵害行為、著作者人格権侵害の行為や著作権法60条の規定に違反する行為によって作成された物がいったん流通過程に置かれた後に、それを更に転売・貸与する者を全部権利侵害とすることには問題があるために、その場合に限って「情を知って」との要件を付加しているものと解すべきであり、控訴人らは、本件各手紙を本件書籍に掲載して出版した当の本人であって、物がいったん流通過程に置かれた後に、それを更に転売・貸与する者ではないから、控訴人らの行為は、同法11312号にいう「頒布」の問題として扱われるべき事柄ではないというべきである。
 
控訴人らは、本件各手紙を本件書籍に掲載して出版行為をすること自体が許されなかったのであるから、右違法な行為によって自らが作成した物を自ら頒布することもまた許されないことは、むしろ自明である。すなわち、本件各手紙を本件書籍に掲載して出版したうえで頒布するという控訴人らの一連の行為全体が、全部であれ一部であれ、複製権を侵害する行為及び著作権法60条の規定に違反する行為に該当するというべきである。











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