著作権重要判例要旨[トップに戻る]







プログラムの著作物の侵害性が問題となった事例(7)
次世代インターホンシステム契約事件」平成180210日東京地方裁判所(平成16()14468 

【コメント】以下の判例中、「原告ライブラリ」とは、「本件システム」の端末ソフトウェアのことで、「被告ライブラリ」とは、本件システムにおいて原告ライブラリに代替すべきものとして被告が訴外会社に開発を依頼したソフトウェアのことです。「被告ライブラリ」は、被告が著作権を有する本件システムのアプリケーションソフトウェア(「本件アプリケーション」)との結合テスト及び必要な修正等を行った上で、被告に納品されました。上記「本件システム」とは、被告がその開発を企画した、従来のインターホンを機能高度化した次世代インターホンシステムのことです。

 
なお、「原告ライブラリ」については、「争いのない事実」として、次のようにその著作物性が認定されています:「…によれば,原告ライブラリの構成項目は,別紙記載のとおりであること,原告ライブラリに実装されている共通関数には,インターネットから取得し得るものやLinux標準関数等から取得可能なものも用いられているが,原告が独自に開発した本件システム端末固有の関数も使用し,これら関数群を取りまとめて原告ライブラリが作成されていることが認められ,さらに,本件使用許諾契約において,原告ライブラリの著作権が原告に帰属することが合意されていることからすると,原告ライブラリはプログラムの著作物として保護されるものと認めるべきである。」 


 以上の事実によれば,被告は,被告ライブラリの開発に当たり,本件アプリケーションの解析を通じて原告ライブラリに求められる機能,すなわちライブラリを構成すべき関数や両プログラムのインターフェース条件を明らかにすることができることを利用して,本件アプリケーションを解析することによって本件アプリケーションを機能させるために被告ライブラリに実装されるべき必要な関数の特定を行ったものであり,原告ライブラリそのものの解析を行ったものではない
 
関数の実装についても,被告ライブラリを構成する65個の関数のうち,前記A−1ないしA−339個の関数は,既存の公開されている関数をそのまま又は一部修正して採用したものである。A−4及びA−5の関数は,特定された関数の処理内容の推測及び実装の段階で,原告ライブラリにテストプログラムをリンクさせているが,インプットとアウトプットとからブラックボックス(原告ライブラリの関数)での処理内容を推測したにすぎず,原告ライブラリのソースコード又はオブジェクトコード自体を知り得たものではない。
 
さらに,原告ライブラリは236個の関数から成るのに対し,被告ライブラリは65個の関数から成り,原告ライブラリに存在せず,被告ライブラリに独自に実装されている関数が少なからず存在するとの相違点が見られる。
 
これらの点にかんがみると,被告ライブラリが原著作物である原告ライブラリの創作的な表現を再生していると認めることはできないし,また,被告ライブラリの開発行為が原告ライブラリに依拠して行われたものと認めることもできない
 これに対し,原告は,原告ライブラリによる処理結果としての出力情報を調査解析して被告ライブラリが作成されたことをもって,違法なリバースエンジニアリングである旨主張する。しかしながら,原告ライブラリへの入力と出力との関係を調査解析して得られるものは,当該関数が実現している機能であり,それは,飽くまでアイデアにすぎないものとして著作権法上保護されないものといわざるを得ない。よって,この点に関する原告の主張は採用することができない。
 
以上によれば,原告が原告ライブラリにつき有する著作権(複製権又は翻案権)に基づき,被告ライブラリの使用差止等,及び被告ライブラリの使用が不法行為又は債務不履行(本件事業スキームの合意違反)に当たることを理由とする損害賠償請求は,その余の点について判断するまでもなく理由がない











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