著作権重要判例要旨[トップに戻る]







二次的著作物の著作権の適法要件
「『どこまでも行こう』・『記念樹』/作曲家事件」平成140906日東京高等裁判所(平成12()1516 

【コメント】本件は、別紙楽譜の歌曲(以下、歌詞付きの楽曲として「歌曲」の用語を用いる。)「どこまでも行こう」に係る楽曲(「甲曲」)の作曲者である控訴人A及びその著作権者である控訴人金井音楽出版が、別紙楽譜の歌曲「記念樹」に係る楽曲(「乙曲」)の作曲者である被控訴人に対し、乙曲は甲曲を編曲したものであると主張して、控訴人Aおいて著作者人格権(同一性保持権及び氏名表示権)侵害による損害賠償を、控訴人金井音楽出版において著作権(編曲権)侵害による損害賠償をそれぞれ求め、他方、被控訴人が、控訴人Aに対し、反訴請求として、乙曲についての著作者人格権を有することの確認を求めた事案です。 

 なお、控訴人金井音楽出版において、歌曲「記念樹」の創作過程の違法性を理由に、その関係者への分配分は否定されるとの趣旨の主張をしていることは上記のとおりであるが、現行著作権法が、二次的著作物に著作権が発生し同法上の保護を受ける要件として、当該二次的著作物の創作の適法性を要求していないことは、同法2111号の文言及び旧著作権法からの改正経過(例えば、旧著作権法22条の適法要件の撤廃)に照らして明らかであるから、上記主張は失当というべきである。また、以上の点は、編曲によって付加された創作性ゆえに二次的著作物の市場価値が増し、当該二次的著作物の相当使用料が高額となる場合もあることを考えれば、十分な正当性を持つものというべきである。…
 
(略)
 [反訴請求について]
 
被控訴人の反訴請求は、控訴人Aに対し、被控訴人が乙曲について著作者人格権を有することの確認を求めるものであるところ、乙曲が甲曲の編曲に係る二次的著作物であること及び当該編曲が違法といわざるを得ないことは前述のとおりであるが、現行著作権法が、編曲に係る二次的著作物について編曲者に著作者人格権が発生するための要件として、当該編曲の適法性を要求するものでないことは、著作権に関して前述したところと同様である。そうすると、被控訴人は、乙曲について著作者人格権を有することが認められる
 
なお、控訴人らは、当審において、乙曲は甲曲を複製したものであるとの主張を撤回して、専ら編曲に係る二次的著作物であるとの主張に変更していることから、被控訴人の反訴請求に係る確認の利益に疑問の余地がないではないが、控訴人Aにおいて、被控訴人が乙曲について著作者人格権を有することを明示的に認める主張をしているものではなく、専ら反訴請求を棄却する判決を求めており、しかも、編曲に係る二次的著作物について編曲者が著作権法上の保護を受ける要件として、編曲の適法性が要求されるとの解釈を前提としていると解される主張もしていることを併せ考えると、被控訴人と同控訴人との間において、被控訴人が乙曲について著作者人格権を有することを確定させることが必要かつ適切であるから、確認の利益も肯定されるというべきである。 したがって、被控訴人の控訴人Aに対する反訴請求は理由がある。











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