著作権重要判例要旨[トップに戻る]







損害の発生を認めなかった事例(2)
「‘
浅井コレクション’手紙事件」平成161216日大阪地方裁判所(平成16()6479 

【コメント】本件は、原告が被告に出した手紙に関し、被告が大阪書籍に対してその複製物を渡した行為が、当該手紙についての複製権、譲渡権及び著作者人格権侵害であるなどとして、損害賠償を請求した事案です。 

 複製権侵害について
(1) 本件においては、本件手紙の原本がどうなったのかを認めるに足りる的確な証拠もなく、また、本件手紙の原本や複製物が被告から大阪書籍以外の者に交付されたことを窺わせる証拠もない。上記事実に照らせば、被告が大阪書籍に交付した物が、本件手紙の複製物であったと断じることはできないため、被告が、本件手紙を複製したと認めるに足りる証拠はない。
(2) 被告が大阪書籍に交付した物が本件手紙の複製物であった場合の原告の損害について判断する。
 
本件手紙は、活字で印刷されたものであって、原告はこれについて、@教科書各社の不正行為の実態と原告の対応は、教科書発行業者、教材発行業者、写真エージェンシー各社にとっては垂涎の情報であった、A「自書告身帖事件最高裁判決」に係る研究は、他に類例を見ない原告独自のものであり、新説であるとしており、これを文芸ないし学術の著作物であると主張するものと解される。しかし、被告がこれを複製して大阪書籍に交付していたとしても、そのことにより、原告に損害が発生したものと認めることはできない。その理由は、次のとおりである。
 
本件全証拠によっても、本件手紙の原本や複製物が有償で取引されているとは認められず、原告が本件手紙を販売することができたとも、被告が本件手紙の複製及び譲渡により利益を受けたとも認めることはできない。
 本件全証拠によっても、原告の所蔵品に関する教科書各社の行為の実態と原告の対応や「自書告身帖事件最高裁判決」に係る研究を始めとする、本件手紙に記載されている内容に関する原告の著作物が、市場で有償で取引されていると認めることはできない。また、被告が、本件手紙を複製した部数が、1部より多かったと認めるに足りる証拠もない。
 
そうだとすると、被告が本件手紙を1部複製して大阪書籍に交付した行為をしたとして、その行為について、原告に著作権の行使につき受けるべき金銭の額があると認めることはできない(少なくとも、本件手紙を多数部複製した場合はともかくとして、1部限りの複製について、原告が著作権の行使につき受けるべき金銭の額が、法令に従って端数計算をした場合に金1円以上となると認めることはできない。)。











相談してみる

ホームに戻る