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違法複製品のインストール後に正規品を購入することによって損害は回復されるか(2)
「アドビプログラム違法複製事件」平成151023日大阪地方裁判所(平成14()8848 

 損害のてん補について
 
被告らは、本件証拠保全手続後に、被告会社が本件プログラムと実質的に同一の正規品を購入したことにより、原告ら主張の損害はすべててん補された旨を主張する。
 
しかし、弁済は一定の給付がなされたこと及びその給付が当該債務の履行としてなされたことを要するところ、被告らの支払に係る金銭というのは、正規品購入の対価としてであって、本件損害賠償債務の履行としてのものでないことは明らかであるから、弁済の要件を充たさない。被告らは、本件プログラムの使用許諾契約の方式を根拠とするかのようでもあるが、各契約の内容上、正規品の購入により既発生の損害賠償債務の消滅をもたらすような条項も認められない。したがって、被告らの上記主張は採用することができない。
 
次に、被告らは、被告会社の正規品購入により、原告らの損害が違法複製の時点から正規品購入の時点までの期間に相当する使用料相当額に限定される旨を主張する。
 
しかし、本件プログラムの価格は、いずれもユーザーによる使用期間の長短にかかわらず一定の額が定められており、正規品の事前購入者さえ、たとえ1回の使用しか予定していない場合であっても、これを利用するためには所定の金額を支払わなければならないのであるから、被告会社の使用期間が限られたものであっても、その賠償すべき損害額を減ずる根拠となるものではない。被告らの上記主張は採用することができない。
 
また、被告らは、正規品の購入価格には将来の使用料が含まれるから、正規品購入後の本件プログラムの使用について二重に使用料を支払うことになるとも主張する。
 
しかし、正規品の購入は、本件損害賠償債務の消滅の効果をもたらすものでないことは上記で判示したとおりであり(同購入時点以後の正規品の使用を可能にする地位を取得するものにすぎない。)、逆に、本件損害賠償債務についての弁済も、同債務消滅の効果をもたらすだけのものである(弁済以後の正規品の使用を可能とする地位を取得させるものではない。)。二重の支払を強いられるかのような被告らの上記主張は、両者の法的効果を混同するものであって、採用することができない。











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