著作権重要判例要旨[トップに戻る]







写真の複製権侵害の成否(2)
「積水ハウス高級注文住宅『ダルニエ・ダイン』事件」平成151030日大阪地方裁判所(平成14()1989 

【コメント】本件「第2事件」は、原告が、原告写真は写真の著作物に該当し、原告は原告写真の著作権者であるところ、被告写真は原告写真を複製又は翻案したものであるとして、被告に対し、損害賠償等を請求した事案です。
 
なお、以下の判示中、OHPフィルム」とは、拡大投影用の透明なフィルムのことで、OHPとは、overhead projector の略語です。 


 以上の事実によれば、原告写真は、被写体の選定、撮影の構図、配置、光線の照射方法、撮影後の処理等において創作性があるものと認められ、原告の思想又は感情を創作的に表現したものとして、著作物性を有するものというべきである。
 
被告は、原告写真は被写体の忠実な再現にすぎないから創作性が認められない旨主張するが、上記認定に照らして、その主張は採用することができない。
 
[被告写真は、原告写真を複製又は翻案したものかについて]
 
…によれば、原告写真と被告写真の比較において、次のようにいうことができる。
 
原告写真と被告写真は、どちらも被写体となる建物を、正面左側の位置から、正面と左側面一部が写るように撮影されている。
 
原告写真と被告写真の被写体となっている建物は、次のような共通点を有する。
 
建物正面左側には2階に寄棟造り様の屋根が、右側には2階に寄棟造り様の屋根と1階に正面に葺き下ろす屋根が存在する。
 
建物正面から見て左側は、右側よりも突出しており、1階は高さのある大きな2連窓が配置され、2階は1階よりやや前方に出た位置に2階の高さの約3分の2程度の高さの4連窓が配置されている。
 
建物正面から見て右側は、左側よりやや後退し、中央寄り1階に玄関が、2階には更に奥まったところにインナーバルコニーが配置されている。また右寄りは1階部のみが存在し、比較的幅が広く、高さのある大きな窓が配置されている。
 
原告写真と被告写真をスキャニングし、原寸でOHPフィルムにて出力したものを重ね併せると、上記寄棟造り様の屋根、建物右側の葺き下ろしの屋根、建物左側1階部分の窓、2階部分の窓、建物右側の玄関、奥まったインナーバルコニー、右端の1階部及びその窓がほぼ一致する
 
建物左側面には、1階部分に屋根はなく、2階と1階にそれぞれ窓が配置されている。原告写真の建物には、1階に突出した部分とその上の2階部分にバルコニーがあるが、被告写真の建物にはそのような突出部分やバルコニーはない。しかし、原告写真と被告写真のOHPフィルムを重ね併せると、突出部分とバルコニーを除いて、建物正面と建物左側面との接線の位置、正面側の12の窓の配置及び大きさなどが、ほぼ一致する
 
屋根は平坦で、色は濃茶色である。壁は、褐色で、直方体が積み上げられたような外観を呈している。
 
上記のような共通点により、原告写真と被告写真の各被写体の建物は、建物の形状、屋根、壁面、窓、玄関、バルコニー等の配置、色彩等を含め、全体として極めてよく似た外観として表示されている。
 
原告は、平成1341日から「エム・グラヴィス ベルサ」の販売を開始したが、遅くともこのころには原告写真はカタログ等に掲載されるなどしていたことが推認される。
 
被告写真は、平成14323日、24日開催の「木曽檜の家 お客様の家見学会」の広告である本件チラシに、あるいは同年622日、23日開催の「木曽檜の家 大工さんのいる構造完成見学会」の広告である本件新聞広告に、掲載されている。
 
以上からすれば、被告写真は原告写真に依拠して原告写真を複製して作成されたものであると認められる
 被告は、被告写真の被写体である建物の正面左側2階の窓の下の窓枠部分が原告写真の被写体と異なること、被告写真の被写体である建物には建物左側面の張り出しや屋根の上の煙突がないこと、正面2階中央のバルコニーの花の装飾が異なること、全体的な色調が異なることなどを指摘し、その結果、被告写真は原告写真の複製又は翻案に該当しないと主張する。
 
しかしながら、被告の指摘は、些細な、格別に意味のない相違にすぎず、しかも、これらの相違点から被告独自の思想又は感情を感得できるようなものではないから、上記認定を覆すものではない











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