著作権重要判例要旨[トップに戻る]







「自動公衆送信用装置」の意義(2)
Winny著作権法違反事件平成161130日京都地方裁判所(平成15()2018 

【コメント】本件(系事件)は、ファイル共有ソフトである「Winny」を用いて2本の映画をアップロードし、アクセスしてきた不特定多数のインターネット利用者に各映画の情報を自動公衆送信できるようにし、各映画の著作権者が有する著作権を侵害したという事案です。

 本件で問題となった「Winny」は、概ね、次のような仕組みを有しています:「Winnyは,特定のサーバーに依存することなく,ファイルの共有ができるファイル共有ソフトである。Winnyを利用してデータを送受信する際には,中央サーバーを介することなく,ノード情報と呼ばれるIPアドレスとポート番号を暗号化した情報を利用して,既にWinnyネットワークに参加している他のパソコンと接続し,これにより自らのパソコンをWinnyネットワークに接続させ,データの送受信を行う。その際,送受信を行うパソコン同士が直接接続される場合もあれば,Winnyを利用している他のパソコンを中継点とし,これを介して,データの送受信が行われる場合もあり,そのいずれの形態で送受信が行われているかは判別できない仕組みとなっている。」 


 弁護人は,送信可能化権侵害罪は,中央のサーバーを介して情報が発信されることを予定した構成要件であるから,本件のようなP2Pの事案には適用されない旨主張している。
 
しかし,著作権法にいう「自動公衆送信装置」とは,サーバーやホストコンピュータに限られるものではなく,およそ公衆からの求めに応じて自動的にそこに入力されている映像,音響,文字等を送信するものをいうのであるから,たとえ個人が所有するパソコンであっても,そこに存在するソフトの動作等により上記のような機能を有しているのであれば,「自動公衆送信装置」に該当する。そして,Winnyは,そのネットワーク内でダウンロードが要求されれば,自動的に目的のファイルを送信する機能を有するプログラムソフトであるから,これをダウンロードして使用していた被告人のパソコンが「自動公衆送信装置」に該当することは明らかである。
 
弁護人の主張は,著作権法の構成要件を恣意的に解釈したものに過ぎず,失当である。
 
(略)
 
判示のとおり,本件公訴事実(訴因変更後のもの)については,これを十分認定することができるところ,弁護人は,「公衆送信用記録媒体」「情報」「自動公衆送信用装置」「公衆の用に供されている電気通信」等の構成要件に該当する事実の摘示がなく,訴因ないし犯罪事実の特定として不十分であるなどと主張する。
 
しかし,本件において,構成要件となる「情報」とは映画の著作物である邦題名「X」及び「Y」の各情報であり,「公衆送信用記録媒体」とはそれらの情報が記録された被告人使用のパソコンのハードディスクであり,「自動公衆送信用装置」とは送受信用プログラムの機能を有するファイル共有ソフト「Winny2.0β6.6」をダウンロードして使用していた被告人のパソコンであり,「公衆の用に供されている電気通信」とはインターネットであることが,それぞれ明らかであるところ,それらの事実の摘示により,本件における訴因ないし犯罪事実の特定には何ら欠けるところはないというべきである。











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