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国際契約の下でプログラム著作権の帰属が争われた事例
CADソフトウェア『Vellum』事件」平成220331日東京地方裁判所(平成18()5689等)/平成230629日知的財産高等裁判所(平成22()10045 

【コメント】本件第1事件は、第1事件原告・第2事件被告(以下「原告コンセプト」という。)が、CAD(コンピュータ支援デザイン)ソフトウェア(32ビットアプリケーションソフトウェア)「Vellum3.0」のプログラム(以下、そのソースコードを「Vellum3.0コード」ともいう。)に係る著作権及びマニュアル(使用説明書)の著作権並びに所定の商標権に基づき、第1事件「被告コムネット」が販売する製品(別紙「被告コムネット商品目録」記載のソフトウェア)、マニュアルの販売等の差止め等を求めるとともに、不法行為(著作権侵害、商標権侵害)に基づき、被告コムネットに対し、損害賠償金等の支払を求めた事案です。
 
本件第2事件は、第2事件「原告アシュラ」が、CADソフトウェア(英語版の16ビットアプリケーションソフトウェア)である「Vellum2.7」及びこれを32ビット化(32ビットOS環境に搭載できるようにソースコードを書き換えること)する際に作成されたVellum Extensions(以下「Extensions」という。)のプログラム(以下、そのソースコードを順に「Vellum2.7コード」、「Extensionsコード」ともいう。)に係る著作権並びに所定の商標権に基づき、原告コンセプトが販売する製品(別紙「原告コンセプト商品目録」記載のソフトウェア)、マニュアルの販売等の差止め等を求めるとともに、不法行為(著作権侵害、商標権侵害)による損害賠償等を求めた事案です。

 
本件における事実関係は、概ね、次のとおりです。

◆原告コンセプトは、コンピュータソフトウェアの開発及び販売等を目的として平成16518日に設立された株式会社である。原告アシュラは、アメリカ合衆国カリフォルニア州法に基づいて設立され、肩書地に主たる事務所を有し、コンピュータソフトウェアの制作、販売等を業とする会社である。

◆原告アシュラは、ベラム(Vellum)の名称で知られるCADソフトウェア(英語版)のプログラムの著作者であり(なお、我が国及び米国は文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約に加盟しているから,同プログラムは、同条約3(1)及び著作権法63号により、我が国の著作権法による保護を受ける。)、同ソフトウェアについて、平成3年(1991年)830日付けで、「ファモティク」(コンピュータソフトウェアの開発及び販売等を目的とする日本法人)との間で、以下の条項を含む販売代理店契約(Distribution Agreement)を締結した。
「原告アシュラは,ファモティクを日本におけるVellumの独占代理店(排他的)として指名し,ファモティクは,その指名を受託する。」(1条)
「ファモティクは,英語版を日本語に翻訳するためにのみ,この製品(Vellum)を修正する権利を有する。日本語版は英語版の機能のすべてを持つものとする。」(2d
この製品(Vellum)のすべての権利(特許権,著作権,商標権を含む。)は,原告アシュラの独占的財産権である。(6a)」・「当製品(Vellum)で容認されている翻訳において作成した知的財産はファモティクに帰属する。(6b)」
両当事者のいずれもこの契約を譲渡する権利を有しない。」(12d

◆原告アシュラは、遅くとも平成6年(1994年)12月ころまでに、Vellumのバージョンアップ版(2.7版)であるVellum2.7(英語版の16ビットアプリケーションソフトウェア)のプログラム(ソースコード)を創作した。

◆原告アシュラとファモティクは、平成7年(1995年)714日付けで、次の条項を含む、Vellumソフトウェアに係るソースコードライセンス契約(Source Code License Agreement)を締結した。
「原告アシュラは,原告アシュラのために派生品を新開発するため,Vellumソフトウェアのソースコードを使用する権利をライセンシー(判決注:ファモティク)に付与し,ライセンシーはそれを借り受けることを望む。」(Recitals B.
「『Vellum Extensionsとは,この契約条項に従ってライセンシーによって新たに開発される,Vellumソフトウェア性能を拡張したものを意味するものとする。」(1.1条)
原告アシュラは,販売代理店契約(Distribution Agreement)でライセンスが付与されることを条件として本契約によりライセンシーに提供されるソースコードその他の品目(items)について,そのすべての特許,著作権,営業秘密及びその他あらゆる知的財産権を単独で有し,今後も依然としてそうあり続ける。ライセンシーは,原告アシュラに対し,Vellum Extensionsに関するすべての権利,権限及び権益を譲渡する。この契約期間中,ライセンシーは,特許,著作権,営業秘密の譲渡又は申請など,Vellum Extensionsに関するあらゆる文書に署名して原告アシュラに交付する。」(2.6条)
この契約及びその契約条件は,法選択の規定を除いて,カリフォルニア州法及び米国法に準拠し,同法に従って解釈される。…」(5.4条)
「この契約は,原告アシュラの書面による事前同意なしに,ライセンシーによって譲渡することはできない。この契約条項は,両当事者,その継承者及び認められた譲受人に対して拘束力があり,その利益のために効力を生じるものとする。(5.8条)」

◆原告アシュラとファモティクは、上記の販売代理店契約及びソースコードライセンス契約を修正するため、平成8年(1996年)213日、次の条項を含む修正契約(Amendment to Agreementsを締結した。
Vellum2.7は,現在,原告アシュラ及びファモティクによって販売されている。ファモティクは,Vellum2.716ビットの基本コード(base code)を32ビットに書き換え,32ビットのWindows95WindowsNTPowerMac上の環境に搭載する作業を行っている。これらの開発成果をVellum Extensionsとして認識する。かかる開発努力のために,原告アシュラは,以下のVellumのモジュールに関するソースコードの原型(prototype)をファモティクに提供する。:Surfaces(表面表現ライン), Rendering(色彩加工), Hidden Line Removal(陰影処理)とInterface(ハードウェアや各種ファイルとの交信ソフトウェア)」(2.1条)
「ファモティクは,Surfaces及びInterfaceのプログラムコードを独自に開発済みであり,またLightworksとの互換性のあるRendering及びHidden Line Removalのモジュールを独自に開発中である。ファモティクによって独自に開発され,又は開発中のこれらのモジュールを,この修正契約では「Additions」という。」(2.2条)
上記開発作業が完成すれば,AdditionsVellum2.7の基本コード(base code)及びVellum Extensionsに混合合体され,新たなVellumとなり,それをVellum3.0と称する。両当事者は,Vellum2.732ビットのWindows95WindowsNTPowerMacOS環境に変換させることで生じる成果は(代理店契約に準拠して)ソースコード契約によるものであることを確認する。」(3.1条)
ファモティクは,Additionsを独占的に所有するが,原告アシュラにその使用と販売を認める。」(3.2条)
「ファモティクは,原告アシュラに対して,Additionsのライセンスを供与する。」(4.1条)
「ファモティクは,更に,原告アシュラがAdditionsVellum3.0に一体化した部分として使用し,製造し,販売し,使用ライセンスの頒布を顧客に対して行うことを許諾する。両当事者は,Vellum3.0について,原告アシュラが世界市場に独占的に販売する権利を有する(ただし,日本市場については,例外として,ファモティクが独占販売権を有する。)ことを確認する。」(4.2条)

◆ファモティクは、フューテックエレクトロニクス株式会社(「フューテック」)に対し、平成151220日付けで、Vellumに関する事業(Vellumに関する全資産<技術資産、ユーザベースを含む営業資産、売掛・受取金勘定のすべてを含む。>及び全責任<Vellumのみに関する下請支払等すべて>)を譲渡し、さらに、フューテックは、平成16518日、フューテックが資本金の過半数を出資して同日に設立した原告コンセプトに対し、事業Vellumのすべて(フューテックがファモティクから譲り受けたすべての資産)を譲渡した。なお、ファモティクは、その間の同年49日、東京地方裁判所において破産宣告を受け、同年826日、破産廃止決定が確定した。 


【原審】

 [Vellum3.0コードのプログラム著作権の帰属について]
(1) Vellum3.0コードの制作経緯
 
Vellum3.0コードのディレクトリ(コンピュータ内においてファイルを階層構造で分類,整理するための保管場所)中,ソースコードが含まれる「Granite」という名称のディレクトリについてみると,その下層ディレクトリ55個のうち40個(約72.7%)がVellum2.7コードのディレクトリと名称が同一であり,さらに,この同一ディレクトリ内のファイルを相互に対照すると,多数のものが名称を同一にしていることが認められる。
 
また,Vellum2.7コードのファイルと名称を同一にするVellum3.0コードのファイル内のソースコードの総行数は276987行であるが,そのうち255623行(約92.3%)がVellum2.7コードのファイル内のソースコードと完全に一致しており,Vellum3.0の全ソースコード(原告コンセプトの主張によれば約40万行)のうち少なくとも約63.9%(=255623行/40万行)がVellum2.7コードと完全に一致していることが認められる。
 
(略)
 
ディレクトリ構成やファイル名は,プログラムを作成する際にプログラムを機能ごとにモジュール分割する作業を反映するものであるから,偶然に一致するということは通常は考え難い。同様に,ソースコードの記述には多数の選択肢が存在するのであるから,既存のソースコードに依拠せずに開発されたソースコードの記述が,既存のソースコードの記述と偶然に一致するということも通常は考え難い。そして,一般に,16ビット環境のプログラムを32ビット環境に移行させる場合には,ビット長を意識したデータについては修正が必要であるものの,多くはコンパイラが処理するので,修正が必要な部分はごく一部に限定されること,本件において,ファモティクは,Vellum3.0コードを開発するに際し,Vellum2.7コードを解析,検証していたという経緯があることも併せ考慮すれば,Vellum3.0コードは,本件修正契約に基づき,Vellum2.7コードを一部改変して作成されたものと認めることができる
 
(略)
(2) 原告コンセプトはVellum3.0 コードのプログラム著作権を取得したか
 
上記(1)のとおり,Vellum3.0コードは,本件修正契約に基づき,ファモティクがVellum2.7コードに依拠して開発したものである。
 
なお,被告コムネットは,16ビットのソフトウェアを32ビットに変更することは専用のソフトウェアによって容易に達成される単純な作業であり,知的な創造を伴うものではない(創作性がない)と主張するが,16ビットのソフトウェアを32ビット化する場合,データ構造を再設計し,データの並び替え,最適化等を行うのが通常であり,単純な作業にとどまるということはできないから,被告コムネットの上記主張を採用することはできない。
 
したがって,Vellum3.0コードは,Vellum2.7コードとは別の著作物というべきであるが,本件修正契約及びソースコードライセンス契約の規定によれば,ファモティクが取得するのは,Vellum3.0コードのうち,Additionsのプログラム著作権であり,その余のプログラム(Vellum2.7基本コード,Extensionsコード)の著作権は,原告アシュラにおいて取得することになるから,原告コンセプトが,フューテックを介して,ファモティクからVellum3.0コード全体のプログラム著作権を取得することはできない。
(3) 原告コンセプトはAdditionsのプログラム著作権を取得したか
 
上記(1)(2)のとおり,ファモティクは,本件修正契約及びソースコードライセンス契約に基づき,Vellum3.0コードのうちAdditionsのプログラム著作権(ただし,Autofaceの部分については,二次的著作権)を取得した。…によれば,ファモティクは,フューテックに対し,平成151220日付けでVellumに関する事業(Vellumに関する全資産<技術資産,ユーザベースを含む営業資産,売掛・受取金勘定のすべてを含む。>及び全責任<Vellumのみに関する下請支払等すべて>)を譲渡し,さらに,フューテックは,平成16518日,同日に設立された原告コンセプトに対し,Vellum事業のすべて(フューテックがファモティクから譲り受けたすべての資産)を譲渡したことが認められる。
 
被告コムネットが指摘するように,上記「全資産」の中にVellum3.0コードに係るプログラム著作権やそのマニュアルの著作権が含まれることについて明示的に言及されてはいないが,これらの著作権もVellumに関する全資産に該当することは明らかであるから,当事者間で特にこれを除外する旨の反対合意がない限り,上記「全資産」の中にはVellum3.0コードに係るプログラム著作権やそのマニュアルの著作権が含まれるものと解するのが相当である。
 
ところで,原告アシュラとファモティクとの間で締結された販売代理店契約によれば,当事者のいずれも契約上の地位を譲渡する権利を有しないものとされているから(12条),ファモティクがフューテックに対して行ったVellum事業の譲渡は,原告アシュラに対抗することができないものと解される。もっとも,同契約において禁止されているのは,契約当事者としての地位の移転であり,Vellum事業で用いられる資産を個別に譲渡することは必ずしも禁止されているわけではないと解されるから,上記事業譲渡契約の当事者間においてはもとより,原告アシュラに対する関係においても,Vellum3.0コードのうちAdditionsのプログラム著作権及びそのマニュアルの著作権の譲渡の効力が直ちに否定されることにはならないというべきである。…
 
以上検討したところによれば,原告コンセプトは,フューテックを介して,ファモティクから,平成16518日にAdditionsのプログラム著作権(ただし,Autofaceについては,二次的著作権)及びマニュアルの著作権の譲渡を受けたものと認められる。

 
[Vellum2.7コード,Extensionsコードのプログラム著作権の帰属について]
(1) 前示のとおり,Vellum3.0コードは,本件修正契約に基づき,ファモティクがVellum2.7コードに依拠して開発したものであるから,本件修正契約及びソースコードライセンス契約の規定により,Vellum2.7基本コード及びExtensionsコードのプログラム著作権は,原告アシュラにおいて取得することになる。
 
この点,原告コンセプトは,著作権法612項により,Extensionsコードのプログラム著作権のうち,同法27条(翻訳権,翻案権等),28条(二次的著作物の利用に関する原著作者の権利)に規定する権利はファモティクに留保され, 原告アシュラに譲渡されないと主張する。しかし,Extensionsコードに係るプログラム著作権の譲渡を定めたソースコードライセンス契約は,その準拠法をカリフォルニア州法及び米国法と定めているから,我が国の著作権法612項の規定が適用されることはなく,また,カリフォルニア州法及び米国法に我が国の著作権法612項に相当する規定が存在するとは認められない。さらに,本件において,仮に我が国の著作権法の規定が適用されるとしても,上記ソースコードライセンス契約2.6条には「原告アシュラは,…ライセンシーに提供されるソースコードその他の品目(items)について,そのすべての特許,著作権,営業秘密及びその他あらゆる知的財産権を単独で有し,今後も依然としてそうあり続ける。」,「ライセンシー(判決注・ファモティク)は,原告アシュラに対し,Vellum Extensionsに関するすべての権利,権限及び権益を譲渡する。」,「この契約期間中,ライセンシーは,特許,著作権,営業秘密の譲渡又は申請など,Vellum Extensions に関するあらゆる文書に署名して原告アシュラに交付する。」旨の規定があるところ,これらの条項は,原告アシュラにおいて,Extensionsコードに係る翻案権等を含めた著作権を全面的に保有することを当然の前提とする趣旨と解されるから,著作権法612項の推定は覆され,Extensionsコードに係る著作権法27条,28条所定の権利についても,ファモティクに留保されることなく,原告アシュラに譲渡されたものと認めるのが相当である。
 
したがって,いずれにしても,原告コンセプトの上記主張は採用することができない。
(2) (略)
(3) 以上のとおり,原告アシュラは,Vellum2.7コード及びExtensionsコードのプログラム著作権を取得し,現在もその著作権を有していると認められる。
 
(略)

 [別紙「原告コンセプト商品目録」記載の各ソフトウェア及びマニュアルは,Vellum2.7コード及びExtensionsコードのプログラム著作権を侵害するものであるかについて]
 
前示のとおり,Vellum3.0コードは,本件修正契約に基づき,Vellum2.7コードに依拠して開発されたものであり,そのうちExtensionsコードの部分は,Vellum2.7基本コードを32ビット化するに当たって改変された部分で(本件修正契約2.1条,2.3条),Vellum2.7基本コードと一体となって32ビットOS上のプログラムとして機能する。そして,Additionsは,Vellum2.7基本コード及びExtensionsコードと統合されてVellum3.0コードとして構成されること(本件修正契約2.3条)から,Vellum2.7基本コード及びExtensionsコードは,Vellum3.0コードからAdditionsモジュールを除外した部分として特定される。
 
Vellum3.0コードの上記構成からすると,Vellum3.0の機能のうち,Additionsに係る機能(@サーフェスデータを自動作成する機能,Aサーフェスデータを視覚化する機能,B陰線処理の機能,Cサーフェスデータを各種ファイルと入出力する機能)を除くCAD機能は,すべてVellum2.7基本コード及びExtensionsコードにより実現されることになる。
 
別紙「原告コンセプト商品目録」記載16のソフトウェアは,上記のCAD機能をすべて共有し,又は改良したものを共有していること,また,別紙「原告コンセプト商品目録」記載16のソフトウェアは,近接する時間で順次制作販売されたものであるところ,Vellum3.0コード(平成8年制作)は,Vellum2.7コードから改変されたものであり,別紙「原告コンセプト商品目録」記載3のソフトウェア(平成17年販売開始)は,同目録記載4のソフトウェアから改変されたものであること,原告コンセプトにとって,直感的なユーザ・インターフェイス「ドラフティング・アシスタント」というCAD製品の特徴と機能,操作性を維持し,その操作に慣れたユーザを囲い込むことで事業を継続する必要があったことからみて,別紙「原告コンセプト商品目録」記載16のソフトウェアは,いずれも平成8年に制作されたVellum3.0コードの基本的部分を維持しつつ,機能の拡張や不具合を修正するために改変を重ねて制作されたものであり,コーディング上もVellum3.0コードと類似しているものと認められる。
 
したがって,別紙「原告コンセプト商品目録」記載16のソフトウェアは,いずれも原告アシュラがプログラム著作権を有するVellum2.7基本コード及びコードExtensionsを複製,翻案したものであるということができる。
 
これに対し,原告コンセプトは,別紙「原告コンセプト商品目録」記載13のソフトウェアはVellum3.0とは全く異なる製品である旨主張するが,そもそもVellum3.0コードに依拠せずに各製品をどのようにして制作,開発したのかを明らかにしておらず,その主張の根拠がないというほかなく,上記主張を採用することはできない。
 
なお,原告アシュラは,別紙「原告コンセプト商品目録」記載16のソフトウェアのマニュアルについても,Vellum2.7コード及びExtensionsコードに係るプログラムを複製,翻案したものであると主張するが,上記マニュアルは,いずれも別紙「原告コンセプト商品目録」記載16のソフトウェアの使用方法等について解説したものであり,上記プログラムとは全く別の思想又は感情を創作的に表現したもの(著作物)であるから,原告コンセプトにおいて上記各マニュアルを複製,頒布したとしても,Vellum2.7コード及びExtensionsコードに係る原告アシュラのプログラム著作権を侵害するものとはいえない。
 
したがって,原告アシュラの上記主張は採用することができない。

【控訴審】

 原審の経緯は,以下のとおりである。
 〔原審第1事件〕
 1事件原告・第2事件被告コンセプトは,CAD(コンピュータ支援デザイン)ソフトウェア(32ビットアプリケーションソフトウェア)であるAshlar-Vellum3.0のプログラムに係る著作権及びマニュアル(使用説明書)の著作権並びに別紙商標目録記載の商標権(コンセプト商標)に基づき,第1事件被告コムネットが販売する製品(別紙「被告コムネット商品目録」記載のソフトウェア),マニュアルの販売等の差止め,廃棄等を求めるとともに,不法行為(著作権侵害,商標権侵害)による損害賠償請求権に基づき,第1事件被告コムネットに対し,第1事件原告・第2事件被告コンセプトに発生した損害の一部請求として,122642447円の支払を求めた。
 〔原審第2事件〕
 2事件原告アシュラが,CADソフトウェア(英語版の16ビットアプリケーションソフトウェア)であるAshlar-Vellum2.7及びこれを32ビット化(32ビットOS環境に搭載できるようにソースコードを書き換えること)する際に作成されたExtensionsのプログラムに係る著作権並びに別紙商標目録記載の商標権(アシュラ商標)に基づき,第1事件原告・第2事件被告コンセプトが販売する製品(別紙「原告コンセプト商品目録」記載のソフトウェア),マニュアルの販売等の差止め,廃棄等を求めるとともに,不法行為(著作権侵害,商標権侵害)による損害賠償請求又は不当利得(第2事件原告アシュラの著作権,商標権の使用料相当額の不当利得)返還請求として,第1事件原告・第2事件被告コンセプトに対し,合計161869597円の支払を求めた。
 〔原審の判断〕
 原審は,第1事件について,第1事件被告コムネットは,Vellum3.0のプログラムに係る著作権及びマニュアル(使用説明書)の著作権を侵害しているとして,別紙「被告コムネット商品目録」記載のソフトウェアの複製等の差止め及び廃棄,並びに4545079円の損害賠償請求を認め,その余の請求を棄却した。
 また,原審は,第2事件について,第1事件原告・第2事件被告コンセプトは,Vellum2.7及びExtensionsのプログラムに係る著作権,アシュラ商標の商標権を侵害しているとして,別紙「原告コンセプト商品目録」記載のCADソフトウェアの複製等の差止め及び廃棄,並びに58260284円の損害賠償請求を認め,その余の請求を棄却した。これに対し,第1事件原告・第2事件被告コンセプト及び第1事件被告コムネットは,原判決のうち各敗訴部分の取消しを求めて,本件控訴を提起した。
 (略)
 当裁判所の判断
 当裁判所は,本件各控訴はいずれも理由がないものと判断する。その理由は,次のとおり,付加訂正するほかは,原判決の…記載のとおりであるから,これを引用する。
1 原判決871行目の後に,行を改めて,次のとおり付加する。
「(略)
(6) 小括
 以上によれば,第1事件原告・第2事件被告コンセプト及び第1事件被告コムネットの上記各主張は,いずれも採用することはできない。したがって,Vellum3.0コードは,本件修正契約に基づき,ファモティクがVellum2.7コードに依拠して開発したものであるが,本件修正契約及び「ソースコードおよび開発ライセンス」契約の規程により,Vellum3.0コードのうち,Additionsのプログラム著作権は,ファモティク(ひいては第1事件原告・第2事件被告コンセプト)が取得し,その余のプログラム(Vellum2.7コード及びExtensionsコード)の著作権は,第2事件原告アシュラにおいて取得すると解するのが相当である。」











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