契約の「書面化」の重要性

ビジネスにおいて、「契約」つまり当事者同士の約束事を「書面化」(文書化)しておくことは、きわめて重要です。このことは、今さらあらためて言う必要もないことなのですが、残念ながら、まだまだ「ビジネス契約書」に対する認識が甘い方が多いのが実情です。例えば、大きな契約(取引)であっても、口約束だけで済ませ、そもそもはじめから契約書を作成する気がないケース、一応書面と呼べるものがあっても、それがネット上で見つけた契約書のひな型で、そのひな型をただ漫然と転用しているケース、書面を用意したが、ひとつ一つの条項の吟味(リーガルチェック)が甘かったために、自分にとって不利な条項に気づかず、また、絶対に入れておくべき条項を挿入し忘れたりしたままで契約を締結してしまったケース、などをよく見かけます。
しかし、一方で、「契約の書面化」の重要性をきちんと認識していて、契約書のひとつ一つの条項の内容に「こだわる」経営者やビジネスパーソン、表現者(クリエーター、アーティスト)が多くいらっしゃるのも喜ばしい事実です。むしろ、当方のような専門事務所に協力を要請してくる方は、このように、日ごろから「契約書」に対して意識を持ち、契約書のビジネスにおけるリスクマネジメントの大切さを十分に認識されているい方がほとんどです。

ひとつ、当事務所が以前にお手伝いをしたケースをご紹介しましょう。
それは、広告デザインを扱っている地方の小さな会社の社長さんからのご依頼でした。依頼人のデザイン会社は米国の会社が管理するあるキャラクターを日本で使用することを企図し、そのライセンス契約の交渉を進めていました。そんなある日のこと、そのキャラクターを管理する米国の会社から社長さんのもとにいきなり十数枚の英文の契約書が送られてきて、「これにサイン(署名)してくれ」と求められました。その社長さんはなかなかの勉強家で、「英文契約書」に関する本も買って、ご自身なりにひとつ一つの条項の内容を確認していったそうです。そして、その社長さん、Governing Law(準拠法条項)のところで、「この条項は、こちらに不利ではないか?なにか問題があるのではないか?」と感じたそうです。そして、その社長さんが、インターネットでたまたま見かけたこのサイトを通して、当事務所に当該英文契約書の条項のチェックと相手方との交渉を依頼されました。
社長さんが感じたように、問題の「準拠法条項」は、相手方にかなり有利な規定振りになっていました。そこで、「裁判管轄」の問題とも絡めて、相手方もぎりぎり受け入れられるのではないかと思われる対案を作成し、これを相手方に提示しました。相手方が日本でのライセシング(利用許諾)に前向きだったこともあり、結局、こちらの対案を無条件で受け入れてくれました。

当事者間の関係が良好なときは、「契約書」などなくても構いません。しかし、いったん関係がこじれはじめると、眼に見える「証拠」としての「書面」(契約書)の果たす役割は、特にビジネスの世界では決定的です。
上で紹介したケースで、もし、社長さんが「問題のある条項」に気づかずに、相手から言われるままに契約書にサイン(署名)をしていたら、社長さんの会社は眼に見えない非常に大きなリスクを背負いこんだことになります。このようなビジネス上のリスクを事前に極力回避することが、まさに「契約書」の果たす最大の任務なのです。
著作権ビジネスを円滑に遂行していくためには、まず、自身又は自社の中・長期的な経営ビジョン、ビジネスコンセプトを明確にした上で、個別具体的な各プロジェクトの中身を慎重に吟味しなければなりません。そして、著作権を実務上適切に管理し、適正に処理するため、当該プロジェクトの具体的な各場面を想定し、考えうる経営上又は法律上のリスクを予測しながら、事前に、しかもスピーディーに、予測可能性の高い契約書を用意しておくことが非常に重要な作業となります。

ビジネス契約は、必ず、「書面化」してください。




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