複製権(条文解説)

「複製権」は、著作者が享有する「著作権」の一支分権です(法17条1項参照)。
この点、法は、「著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。」と規定しています(法21条)。本条は、著作者が、自己の著作物に対する有形的再製に関し、排他独占的権利を有する旨を規定したものです。

複製権は、著作権の中で、歴史的に見ても、また著作物の実際な利用の場面においても、最も基本的で重要な権利といえます。複製権とは、文字通り、著作物を「複製」する排他独占的な権利をいいます。それでは、「複製」とは、具体的にはどのような利用行為を意味するのか。この点に関して、著作権法に定義規定があります(法2項1項15号)。この定義規定によれば、「複製」とは、印刷、写真、複写、録音、録画などの方法によって、著作物を有形的に再製すること(著作物を形のある物にコピーすること)を意味します。したがって、例えば、音楽の著作物の生演奏それ自体や演劇のライブ上演それ自体のようないわゆる「無形的複製」は、わが国では、「複製」の概念に含めて扱っていません(これらの「生演奏」や「ライブ上演」には、それぞれ「演奏権」・「上演権」が働きます(法22条参照))。小説や論文を印刷すること、これらを複写機でコピーすること、絵画や彫刻を写真撮影すること、講演をテープに取ること、テレビ放送された映画をビデオに撮ることなどは、いずれも「複製」に該当します。また、先の例でいいますと、生演奏されている音楽の著作物を録音したり、ライブ上演されている演劇の著作物を録音・録画することは、「複製」に該当します。

著作物の複製とは、「既存の著作物に依拠し、その内容及び形式を覚知させるに足りるものを再製すること」をいうとする最高裁の判例がありますが、ここで「再製」とは、既存の著作物と同一性のあるものを作成することをいい、かかる同一性の程度については、全く完全に同一である場合(いわゆるデッドコピー(dead copy)と呼べる場合)はもちろんのこと、多少の修正増減があっても著作物の同一性を損なうことのない場合(実質的に同一である場合)も含まれると解されます。なお、一部分の複製であっても、その部分が単独でも著作物性(法2条1項1号)を有すると認められる限り、当該部分複製にも複製権は及ぶものと解されます。

絵画や書の手書きによる(忠実な)模写も「複製」に該当します。作成される複製物の数は問題となりません。複製物がたとえ1部であっても、著作権者の同意なしに複製することは原則として許されません。さらに、複製が営利を目的としてなされたか否かも問題とされません(非営利であっても当然に無断で複製を行えるものではありません)。複製が、「公に」すなわち「公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として」(法22条参照)なされたかどうかも問題とされません。

なお、著作権法上の「複製」には、次に掲げる行為が含まれるものとされています(法2条1項15号(イ)及び(ロ))。すなわち、「脚本その他これに類する演劇用の著作物」について、「当該著作物の上演、放送又は有線放送を録音し、又は録画すること」、並びに「建築の著作物」について、「建築に関する図面に従って建築物を完成すること」が、それぞれ「複製」行為として扱われます。



     Kaneda Copyright Agency
     カネダ著作権事務所


      Home  メール相談  契約マネジメント  文化庁登録マネジメント  侵害対応マネジメントその他
      アメリカ著作権局登録マネジメント  著作権判例エッセンス