コンテンツビジネスと下請法

~「下請けいじめ」に泣き寝入りをしないために~

(注)以下の記事中における解説(法解釈や例示)は、「下請代金支払遅延等防止法に関する運用基準(平成28年12月14日公正取引委員会事務総長通達第15号)」に準拠してしています。

下請法は、「下請事業者の利益保護」を担保するための法律です≫

「親事業者」から「下請事業者」へ発注されるさまざまな委託業務(下請取引)では、その市場における影響力(資本力やネームバリュー等)を背景として、仕事を発注する親事業者の方が、仕事を「いただく」下請事業者よりも、さまざまな場面で優位な立場にある場合が多いといえます。例えば、親事業者の一方的な都合によって下請け代金の支払が延期されたり、代金の不当な値下げを要求されたり、納入した物品の受領が拒否されたり、不当な返品が行われたりと、下請事業者にしてみれば、その受ける可能性のある不利な扱いを挙げれば切りがありません。
一方、「コンプライアンス(法令順守・遵法)経営」や「企業の社会的責任」が厳しく問われる昨今では、仕事を下請けに発注する親事業者にしても、いわゆる「下請けいじめ」のような行為をすれば、公正取引委員会から「勧告」(下請法7条参照)等の措置を受けるだけでなく(勧告措置を受けた親事業者は、公取委のHPで公表されています)、企業イメージやブランドに対する社会的評価の著しい低下を招き、自社の経営に対してマイナスの影響を与えることは避けられません。法令を遵守し、適正なコンプライアンス経営を遂行するためには、親事業者の社内体制の整備は不可欠であり、社内の担当者に対する遵法意識の徹底を図るとともに、経営責任者を中心とする遵法管理体制を確立することが求められるでしょう。

経済のソフト化等に対応するための平成15年法改正によって、下請法(正式名称を「下請代金支払遅延等防止法」といいます)は、製造業や修理業のみならず、広くコンテンツ産業の分野(ソフトウェア開発、ゲームソフトやアニメーション制作、映画やテレビ番組、CMの製作、雑誌広告、情報処理等)に係わる法律となっています。下請法は、現在、コンテンツビジネスを遂行するに当たって非常に重要な規制法規の1つになっています。したがって、下請法に関する正確な知識を身に付けることは、コンテンツビジネスの中で自らを自らの手で防衛する必要のある弱い立場の「下請事業者」にとって必須であると言っても過言ではありません。一方、コンプライアンス経営に対する社会の厳しい目にさらされている「親事業者」にとっても、下請法を理解し、その要請を履行していくことが不可避の課題であると言えるでしょう。

下請法は、その第1条(目的)で、次のように規定しています:「この法律は、下請代金の支払遅延等を防止することによって、親事業者の下請事業者に対する取引を公正ならしめるとともに、下請事業者の利益を保護し、もって国民経済の健全な発達に寄与することを目的とする。」―つまり、下請法は、親事業者(発注者)の下請事業者(受注者)に対する「下請取引の公正化」を図り、「下請事業者の利益を保護」することを第一の目的としています。そして、この目的を実現するため、下請法において、下請取引に当たって親事業者に求められる遵守義務と、下請代金の減額の禁止等の11項目にわたる禁止行為が定められています。
(注) 「下請代金」とは、親事業者が「製造委託等」をした場合に下請事業者の給付(役務提供委託をした場合にあっては、役務の提供)に対し支払うべき代金をいいます(2条10項)。ここで、「製造委託等」とは、「製造委託」・「修理委託」・「情報成果物作成委託」及び「役務提供委託」をいいます(2条5項)。これらの個々の内容は後述します。

コンテンツビジネスと下請法(2)に続く・・・




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