二次的著作物に関する著作権(条文解説)

≪二次的著作物の創作権(法27条)≫

「二次的著作物の創作権(翻訳権、翻案権等)」は、著作者が享有する「著作権」の一支分権です(法17条1項参照)。
この点、法は、「著作者は、その著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案する権利を専有する。」と規定しています(法27条)。本条は、著作者が、自己の著作物(原著作物)に対する二次的著作物の創作行為に関し、排他独占的な権利を有する旨を規定したものです。

本条に規定する権利は、「著作物を翻訳する権利」(翻訳権)、「著作物を編曲する権利」(編曲権)、「著作物を変形する権利」(変形権)、「著作物を翻案する権利」(翻案権;脚色権・映画化権を含む)です。つまり、二次的著作物の創作行為に係わる権利を意味します。「二次的著作物」の意義ついては、法2条1項11号の解説を参照してください。
なお、本条に規定する権利を、「改作利用権」とか、「二次的著作物の創作権」などと呼ぶ識者もいます。実務では一般的に(すべてまとめて)「翻案権」と呼んでいます。
本条によって、著作者は、自己の著作物(原著作物)の表現を翻案等によって改作する行為(二次的著作物の創作行為)を欲する者に対して、当該行為を許す(許諾する)権限が与えられ、一方、無許諾でそのような改作行為をする者に対しては、本条に定める権利(翻案権等)の侵害として、その責任を追及することが可能になります。

≪二次的著作物の利用に関する原著作者の権利(法28条)≫

「二次的著作物の利用に関する原著作者の権利」は、著作者が享有する「著作権」の一支分権です(法17条1項参照)。
この点、法は、「二次的著作物の原著作物の著作者は、当該二次的著作物の利用に関し、この款に規定する権利で当該二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利を専有する。」と規定しています(法28条)。本条は、二次的著作物が利用される場合にはその原著作物も利用される関係を有することから、二次的著作物の利用に関して、原著作物の著作者が、当該二次的著作物の著作者と同じ内容の権利を専有することを規定したものです。

上述のように、著作者には、自己の著作物から二次的著作物を創作することを他人に許諾する権利が与えられています(法27条参照)が、本条により、そのようにして創作された二次的著作物の経済的な利用の場面においても、当該二次的著作物の著作者と同一の権利が認められることになります。つまり、二次的著作物の利用行為に関して、そこに原著作物の著作者の権利(「当該二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利」)が及ぶことになるのです。したがって、二次的著作物の著作者(著作権者)であっても、自己が創作した二次的著作物であるからと言って、無条件に(原著作物の著作者(著作権者)の許諾を得ることなく)、当該二次的著作物を利用することは許されないものと解されます。原著作者の許諾なく利用行為を行えば、原著作者が有する本条の権利を侵害することになります。

「二次的著作物」(法2条1項11号)も、原著作物との関係を除けば、著作権法によって保護される「著作物」(2条1項1号)の1つですから、二次的著作物の著作者は、自己の二次的著作物に関して、独自に著作権を有することになります(11条参照)。具体的には、その二次的著作物の利用に関して、当該二次的著作物の種類に応じて、以下の著作権法21条から28条までの権利を専有することになります
当該二次的著作物に関する複製権(法21条)
当該二次的著作物に関する上演権・演奏権(法22条)
当該二次的著作物に関する上映権(法22条の2)
当該二次的著作物に関する公衆送信権・公の伝達権(法23条)
当該二次的著作物に関する口述権(法24条)
当該二次的著作物に関する展示権(法25条)
当該二次的著作物に関する頒布権(法26条)
当該二次的著作物に関する譲渡権(法26条の2)
当該二次的著作物に関する貸与権(法26条の3)
当該二次的著作物を原著作物としてそこからさらに「二次的著作物」(もともとの原著作物からみると<三次的>著作物と呼べるもの)を創作(翻案)する権利(法27条)
当該<三次的>著作物の利用に関する原著作者(二次的著作物の著作者)の利用権(法28条)

二次的著作物の原著作者は、当該二次的著作物の利用に関し、上記のような、「当該二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利」を専有することになります。したがって、原著作者が本条によって実際に有することになる権利の内容は、「当該二次的著作物」の種類に応じてケースバイケースで異なってくることになります。このように、原著作者に、二次的著作物の経済的利用の場面で「当該二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利」が認められるということは、二次的著作物の利用については、当該二次的著作物の著作者(著作権者)の権利とその原著作物の著作者(著作権者)の権利とが併存することを意味します。したがって、二次的著作物の利用を欲する者は、その二次的著作物の著作者(著作権者)の許諾はもちろんのこと、その原著作者(著作権者)の許諾をも得なければならなことになります。この点は、注意が必要です。

最後に、具体例を使って、以上の話をまとめてみます:
例えば、ある「小説」(原著作物)を「脚本」にした場合に、二次的著作物であるその「脚本」を複製(法21条)したり、映画化(27条)したりするときは、脚本家の許諾だけでなく、原作者である小説家の許諾も必要になります(28条)。また、ある「小説」(原著作物)を脚色して「脚本」(二次的著作物)とし、その脚本をもとに「映画」を製作したような場合、当該「映画」は<三次的>著作物とも言えそうですが、当該映画についても法律上は「二次的著作物」であり、その「映画」の利用行為(例えば、劇場上映や放送、インターネットによる配信など)には、「映画」の著作者(著作権者)、「脚本」の著作者(著作権者)だけでなく、おおもとの「小説」の著作者(著作権者)の許諾も必要になります(法28条)。



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