展示権(条文解説)

「展示権」は、著作者が享有する「著作権」の一支分権です(法17条1項参照)。
この点、法は、「著作者は、その美術の著作物又はまだ発行されていない写真の著作物をこれらの原作品により公に展示する権利を専有する。」と規定しています(法25条)。本条は、美術の著作物又は未発行の写真の著作物の著作者が、当該著作物をこれらの原作品により公に展示する排他独占的権利を有する旨を規定したものです。

展示権の目的となる著作物は、「美術の著作物」と「写真の著作物」だけです。これら以外の著作物、例えば、小説や詩集などの原作品の展示に展示権が及ぶことはありません。また、展示権が働くのは著作者の思想又は感情が最も忠実に表現された「原作品」の展示に限られる点に注意してください。複製物の展示には及びません。絵画や手彫りの彫刻など、通常、オリジナルが1品(1作品)しか制作されないものについての「原作品」はまさにその1品ということになりますが、版画や写真の場合には、著作者がオリジナルであると考えて作成したもの(例えば、初回刷りのものをオリジナルとするなど)であれば、複数であってもすべて「原作品」として扱って差し支えないと解されています(ちなみに、版画のもとになっている版木、写真のネガフィルム自体は「原作品」ではありません。)。そのため、通常は1品しか創作されない美術の著作物の原作品との均衡を考慮して、写真の著作物について展示権が及ぶのは、「まだ発行されていない」(未発行の)ものに限定されています(美術の著作物については、発行・未発行の別を問いません。)。なお、「発行」については、解釈規定があります(3条参照)。

「展示権」は、美術の著作物又は未発行の写真の著作物の原作品を「公に」展示する場合に著作者に認められる権利です。「公に」というのは、著作権法では、「公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として」という意味で統一して使われています。ここで、「公衆」とは、不特定の者又は特定多数の者をいいます(法2条5項参照)。この定義から、著作権法上、「特定少数」は「公衆」に該当しないため、家庭内やそれに準ずるごく限られた友人間におけるような「特定少数」に対する展示には、そもそも展示権は及ばないことになります。
なお、美術の著作物又は未発行写真の著作物の原作品にかかわる本条の展示権と、その原作品の所有権との調整を図るための規定が別に設けられています(法45条参照)。
(参考)
美術の著作物の著作者が、その原作品の事後の売買(再売買)について、その収益の配分にあずかる権利(いわゆる「追及権」(ベルヌ条約14条の3、フランス知的所有権法典に関する法律122-8条参照))については、美術作品の売買が公開のオークションではほとんど行われていないわが国においては、現在のところ認められていません。



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