著作権等侵害罪(条文解説)

著作権法119条以下に「罰則」に関するいくつかの規定が設けられています。
ここでは、法119条、法123条、法124条について解説します。

≪法119条について≫

119条は、著作権、出版権又は著作隣接権を侵害した者、これらの権利を侵害する行為とみなされる行為を行った者、著作者人格権又は実演家人格権を侵害した者等に対して、所定の要件の下で、刑罰を科す旨を規定しています:
(注)「違法ダウンロードの刑事罰化」(法119条3項)については、別に解説しています。

著作権、出版権又は著作隣接権を侵害した者(第30条第1項(第102条第1項において準用する場合を含む。第3項において同じ。)に定める私的使用の目的をもって自ら著作物若しくは実演等の複製を行った者、第113条第3項の規定により著作権若しくは著作隣接権(同条第4項の規定により著作隣接権とみなされる権利を含む。第120条の2第3号において同じ。)を侵害する行為とみなされる行為を行った者、第113条第5項の規定により著作権若しくは著作隣接権を侵害する行為とみなされる行為を行った者又は次項第3号若しくは第4号に掲げる者を除く。)は、10年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する1項)。

次の各号のいずれかに該当する者は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する2項)。
1号)著作者人格権又は実演家人格権を侵害した者(第113条第3項の規定により著作者人格権又は実演家人格権を侵害する行為とみなされる行為を行った者を除く。)
2号)営利を目的として、第30条第1項第1号に規定する自動複製機器を著作権、出版権又は著作隣接権の侵害となる著作物又は実演等の複製に使用させた者
3号)第113条第1項の規定により著作権、出版権又は著作隣接権を侵害する行為とみなされる行為を行った者
4号)第113条第2項の規定により著作権を侵害する行為とみなされる行為を行った者

犯罪の成立要件として、一般的には、行為者(具体的な行為を実行した者)の「故意」(自己の行為が犯罪構成要件に該当する(かもしれない)ことを認識等していること)が必要であるため、著作権侵害罪等、著作権法中の刑罰の成立においても、行為者に故意の存することが要件となります(刑法38条参照)
本条の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない、つまり、親告罪であるとされています(法123条1項)。本条における保護法益は、第一に、著作者等の人格的又は経済的利益つまり個人的保護法益であって、当該個人の意思が尊重されるべきだとする考えの現れだと解されます。
30条第1項に定める私的使用の目的をもって自ら著作物若しくは実演等の複製を行った者」は、「著作権、出版権又は著作隣接権を侵害した者」から除かれています(1項かっこ書)。「私的使用」すなわち「(著作物等を)個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること」を目的とする場合であって、「公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器を用いて複製する」行為や、「著作権を侵害する自動公衆送信を受信して行うデジタル方式の録音又は録画を、その事実を知りながら行う」行為等は、侵害行為となりえます(法30条1項各号参照)。しかしながら、これらの行為はその違法性が軽微であると考えられることから罰則は適用しないこととしました(ただし、「違法ダウンロードの刑事罰化」参照)。もっとも、「営利を目的として、第30条第1項第1号に規定する自動複製機器を著作権、出版権又は著作隣接権の侵害となる著作物又は実演等の複製に使用させた者」には刑罰が科されます(本条2項2号)。

123条について

123条は次のように規定しています:
119条、第120条の2第3号及び第4号、第121条の2並びに前条第1項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない1項)。
無名又は変名の著作物の発行者は、その著作物に係る前項の罪について告訴をすることができる。ただし、第118条第1項ただし書に規定する場合及び当該告訴が著作者の明示した意思に反する場合は、この限りでない2項)。

本条は、権利侵害罪(法119条)等所定の罪については、これを親告罪とするとともに(1項)、一定要件の下で無名又は変名の著作物の発行者に告訴権を認める旨を規定しています(2項)。
刑事訴訟法230条においては、「犯罪により害を被った者」は告訴をすることができると規定されています。著作権法における親告罪においては、一般的に、以下の者が「犯罪により害を被った者」に当たります。
119条の罪」…当該権利者
「第120条の2第3号及び第4号の罪」…当該権利者
「第121条の2の罪」…国内レコード業者
「第122条の2第1項の罪…秘密保持命令違反の罪により害を被った、例えば、当該秘密保持命令の対象となっている営業秘密の保有者など。
なお、告訴期間について刑事訴訟法では、「親告罪の告訴は、犯人を知った日から6箇月を経過したときは、これをすることができない。」とされています(同法235条1項本文)。これが原則です。

124条について

124条は次のように規定しています:
法人の代表者(法人格を有しない社団又は財団の管理人を含む。)又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する(1項)。
119条第1項若しくは第2項第3号若しくは第4号又は第122条の2第1項 3億円以下の罰金刑1号
119条第2項第1号若しくは第2号又は第120条から第122条まで 各本条の罰金刑2号
法人格を有しない社団又は財団について前項の規定の適用がある場合には、その代表者又は管理人がその訴訟行為につきその社団又は財団を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する(2項)。
1項の場合において、当該行為者に対してした告訴又は告訴の取消しは、その法人又は人に対しても効力を生じ、その法人又は人に対してした告訴又は告訴の取消しは、当該行為者に対しても効力を生ずるものとする3項)。
1項の規定により第119条第1項若しくは第2項又は第122条の2第1項の違反行為につき法人又は人に罰金刑を科する場合における時効の期間は、これらの規定の罪についての時効の期間による4項)。

この規定は、法人の代表者や法人等の従業者等が、その法人等の業務に関し、所定の違反行為をした場合に、当該行為者を罰するだけでは処罰の目的が十分に達せられないおそれがあることから(企業による大規模な著作権侵害を抑止するため)、その法人等に対しても所定の罰金刑を科することとした規定(いわゆる両罰規定)です。



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