40条の自由利用(条文解説)

著作権法40条は、「政治上の演説等の利用」について規定しており、具体的には次のとおりです:
「公開して行われた政治上の演説又は陳述及び裁判手続(行政庁の行う審判その他裁判に準ずる手続を含む。第42条第1項において同じ。)における公開の陳述は、同一の著作者のものを編集して利用する場合を除き、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。」(1項
「国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人において行われた公開の演説又は陳述は、前項の規定によるものを除き、報道の目的上正当と認められる場合には、新聞紙若しくは雑誌に掲載し、又は放送し、若しくは有線放送し、若しくは当該放送を受信して同時に専ら当該放送に係る放送対象地域において受信されることを目的として自動公衆送信(送信可能化のうち、公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置に情報を入力することによるものを含む。)を行うことができる。」(2項
「前項の規定により放送され、若しくは有線放送され、又は自動公衆送信される演説又は陳述は、受信装置を用いて公に伝達することができる。」(3項

本条は、公開して行われた政治上の演説や陳述、裁判手続における公開の陳述は、その性質上広く一般大衆に伝達されて自由に利用されるべきものであることから、これらの原則的な自由利用を認めるとともに、国・地方公共団体の機関等において行われた公開の演説や陳述についても、報道の目的から広く一般大衆に知らしめる必要があるため、これらの報道的な態様での利用を認めることとしたものです。

「公開して行われた」(1項)とは、不特定の者又は特定多数の者(2条5項参照)が聴取できる状態で行われたことを意味します。一般には非公開であっても、中継放送されるとか、報道関係者の入場は許されているような場合には、なお「公開して行われた」ものと解されます。
「政治上の演説又は陳述」(1項)とは、例えば、総理大臣や知事の所信表明演説、大臣などの選挙での立会演説会での演説、各種政治討論会での発言(主張)などが想定されています。つまり、ここで「政治上」とは、政治の方向性に影響を与えようとの意図をもって自己の意見を表明する場合をいいます。なお、「政治上」とは言えない演説・陳述であっても、それが国・地方公共団体の機関等で公開で行われたものであれば、本条2項の適用があり得ます。
「裁判手続」又は「裁判に準ずる手続」における陳述(1項)とは、裁判所における検察官・弁護人・原告・被告(人)の弁論、参考人や鑑定人の陳述、行政審判における請求人の陳述や行政庁の答弁などを想定したものです。
「同一の著作者のものを編集して利用する場合」(1項)とは、例えば、「○○文部科学大臣演説集」のような特定の個人(著作者)のものを発行するような場合を意味し、「歴代総理大臣所信表明演説集」のように特定の個人のものを編集したとは言えないものは、これに該当しません。
「いずれの方法によるかを問わず」(1項)とは、録音や録画、放送など著作権法上のあらゆる利用態様で利用できることを意味します。

本条2項は、国会や地方議会、各種の審議会や委員会での公開の討論の場における、非政治的な(「政治上」ではない)演説・陳述を想定しており、例えば、以上のような場での国会議員の質疑や政府側の答弁、参考人の陳述などがこれに当たります。



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