33条の2の自由利用(条文解説)

33条の2は「教科用拡大図書等の作成のための複製等」について次のように規定しています:
「教科用図書に掲載された著作物は、視覚障害、発達障害その他の障害により教科用図書に掲載された著作物を使用することが困難な児童又は生徒の学習の用に供するため、当該教科用図書に用いられている文字、図形等の拡大その他の当該児童又は生徒が当該著作物を使用するために必要な方式により複製することができる。」(1項
「前項の規定により複製する教科用の図書その他の複製物(点字により複製するものを除き、当該教科用図書に掲載された著作物の全部又は相当部分を複製するものに限る。以下この項において「教科用拡大図書等」という。)を作成しようとする者は、あらかじめ当該教科用図書を発行する者にその旨を通知するとともに、営利を目的として当該教科用拡大図書等を頒布する場合にあっては、前条第2項に規定する補償金の額に準じて文化庁長官が毎年定める額の補償金を当該著作物の著作権者に支払わなければならない。」(2項
「文化庁長官は、前項の定めをしたときは、これを官報で告示する。」(3項
「障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律第5条第1項又は第2項の規定により教科用図書に掲載された著作物に係る電磁的記録の提供を行う者は、その提供のために必要と認められる限度において、当該著作物を利用することができる。」4項

本条は、平たく言うと、小中高の教科書等に掲載された著作物を拡大教科書等として掲載する場合には、一定要件の下、著作権者の許諾を要しないことを規定したものです。
特別支援学校や小・中学校の特別支援学級などの弱視の児童・生徒が授業を受けるためには、既存の教科書の文字や図形等を拡大したいわゆる「拡大教科書」を使用する必要があります。従来、このような拡大教科書の作成については、通常の教科書とは異なり、著作権者の許諾が前提となっていました。ところが、拡大教科書の作成は、その大部分がボランティアによる手作りで、しかも、その作成部数もごく僅かであるという実態がありました。そこで、設けられたのが本条です(平成15年法改正)。さらに、平成20年にいわゆる「教科書バリアフリー法」(障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律)が制定されたことに伴い、「視覚障害」を有する児童・生徒に加え、「発達障害その他の障害」により教科用図書に掲載された著作物を使用することが困難な児童・生徒のための複製も可能になりました。

「教科用拡大図書等」(2項参照)に掲載できる著作物は、「教科用図書に掲載された著作物」に限られます。ここで、「教科用図書」とは、「小学校、中学校、高等学校又は中等教育学校その他これらに準ずる学校における教育の用に供される児童用又は生徒用の図書であって、文部科学大臣の検定を経たもの又は文部科学省が著作の名義を有するもの」をいいます(33条1項かっこ書参照)。なお、「教科用拡大図書等」を作成しようとする者(作成主体)については特に制限がありませんので、ボランティアや会社等の別を問いません。

教科書バリアフリー法5条は、教科用図書の発行者から、文科大臣又は文科大臣が指定する者を通じて、教科用特定図書等の発行をする者に対して、教科書のデジタルデータを提供する仕組みについて規定しています。そのため、そのような提供のために必要と認められる限度において、著作権が制限される旨を規定しているのが第4項です
[参考:教科書バリアフリー法5条(教科用図書発行者による電磁的記録の提供等]
教科用図書発行者は、文部科学省令で定めるところにより、その発行をする検定教科用図書等に係る電磁的記録を文部科学大臣又は当該電磁的記録を教科用特定図書等の発行をする者に適切に提供することができる者として文部科学大臣が指定する者(次項において「文部科学大臣等」という。)に提供しなければならない。」(1項
教科用図書発行者から前項の規定による電磁的記録の提供を受けた文部科学大臣等は、文部科学省令で定めるところにより、教科用特定図書等の発行をする者に対して、その発行に必要な電磁的記録の提供を行うことができる。」(2項
[参考:教科書バリアフリー法2条(定義)]
この法律において『教科用特定図書等』とは、視覚障害のある児童及び生徒の学習の用に供するため文字、図形等を拡大して検定教科用図書等を複製した図書(以下「教科用拡大図書」という。)、点字により検定教科用図書等を複製した図書その他障害のある児童及び生徒の学習の用に供するため作成した教材であって検定教科用図書等に代えて使用し得るものをいう。」(1項



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